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2014年12月 4日 (木)

1990年の映画「リメインズ」主役は実は真田広之じゃなくて

 「平助さんちに羆(くま)が出たぁっ!」という若い女性の絶叫から、映画「リメインズ」は始まります。

 千葉真一監督の映画ですけど、11つの絵には強烈な創造者のこだわりが溢れています。音楽も素晴らしい。実在した1頭の羆をめぐって、猟師が山を捜索する、最終的には親族をこの羆に殺された(母は跡形もなく食われた)少女の、執念と智恵と勇気で事件羆は仕留められますが、そこに至る羆と人間との確執が映画のすべてであります。ちなみに私は1990年に京都の映画館でこの映画を見てから北海道における人喰い羆と人間の抗争の歴史に興味を持ち、19914月に北海道に移住してからは事件地・苫前の見学をはじめあれこれと勉強いたしました。木村盛武氏の「慟哭の谷」、小説家・吉村昭の「羆嵐(くまあらし)」など、臨場感のある書籍は多く、20年以上経った今もそれらを手に取ると、当時の興奮がその時のまま、蘇るのであります。

 とにかく映画「リメインズ」は名作であります。スカパー!の惹句にあったような「笑劇のB級映画」ではないと思います。邦画ファンの大恩人・深作欣二の実績に思いを致すなら、「笑劇」などという言葉は使えない。監督は上に書いたように千葉真一でありますが、深作欣二師匠が総指揮をつとめているのであります。

 主役は二人います。若い猟師・英治を、撮影当時まだ30代だった真田広之、そして父母と弟を羆に殺された少女・由紀を、村松美香さんがつとめています。今この女優はどうしているのだろう。

 北海道の真狩、ニセコ、倶知安など、羊蹄山の麓でロケは行われ、カメラワークは素晴らしく、またその絵は美しく、緊張感に満ち、一瞬たりとも画面から目が離せません。同じ地平に人間と実物の羆が映る場面があり、ずいぶん危険な撮影でもあったらしい。

 新人・村松美香の意気込みは監督も制禦できなかったのか大変なもので、また、一番多く画面に登場する真田広之は当然のことながらかっこいい。私はこの人も、妻夫木聡や安藤政信同様、日本映画界の宝だと思っております。(妻夫木さんは最近ちょっと、才能の安売りが目立つ)

 しかし、この映画で一番かっこいいのは、二人の主役ではないのであります。

 初老の猟師が、登場する。この猟師は「鷹の爪」と呼ばれた小村落の長でもあり、そして真田広之はこの猟師の弟子であります。この初老の猟師、登場機会は真田の半分にも達しないのでありますが、ぐっと低い声で語り、その内容が何であっても、画面のすべてを制圧し、大変な存在感なのであります。4人の若い猟師を率いているわけですが画面に出ていない時も、映画の人間すべてをコントロールしてしまう。低く太い声は静かだけれど力強く、一度聴いたら耳から離れないのであります。

 私が菅原文太さんの映画で知っているのは「リメインズ」だけであります。訃報に接し、スマホに入っていた映画をもう一度見ておりました。初老の猟師は低く語り図太い存在感を示し、交響曲で言うなら「通奏低音」でありました。疑いなくスクリプトがどうであれ、この映画の「主役」なのでありました。

 心より、冥福をお祈りいたします。

 

 で。

 海南島LPガス戦争、あっけなくけりがつきました。

 水曜日午前、「1時にアパートに帰ります、ぜひLPガス補充お願いします」と外事処にメールし、それに返信はなかったのですが、午後2時半、外事処事務官の助手さん(大学4年生)が部屋に来ました。「☆☆先生(外事処担当)の使いで来ました。LPガスは中先生ご自身で調達して下さい。」ということでありました。

 外事処事務官はシャロン・ストーンみたいな美人です。美人ほど私を嫌う、そんなことには慣れております。しかし私は、この人に、メールを出した。なぜ自分で返事を「メール1本で済むのに」しないのだ? しかも、私が「ガスがなくなりました」と言ったのは月曜日の夕方であります。「それは自分で買って下さい」というのが助手の口から、しかも翌々日、というのがわからない。

 とはいえ、助手さんは中国語を話せない私のためにガスボンベの張り紙を見てちゃんとガス屋さんに電話をかける、そこまでやってくれました。30分後、あっけなくガス屋さんは来て、私から119元を受け取り、満充填のボンベを設置してくれました。ガス屋さんが帰ってから直ちに、助手さんにお礼のメールを出しました。すぐに返事が来ました。「お役に立てて嬉しいです。」おもしろいので、シャロン・ストーンにもメールを出しました。「お手配のおかげでガスは充填されました。謝謝。」もちろん返事が来るとは思っておりません。

 ところで。それとは別の話。

 ガス屋さん、私のコンロを見て、五徳の代わりに石が二つ置いてあるのに不審を示します。

 「なにこれ?」私は、五徳が腐ったのでこれを拾ってきてこの上に鍋を置いている、と身振り手振りで説明。

 ガス屋さんは、「そんなの忠介路市場第三閣へ行けばいくらでも売ってるじゃないか。3元だよ、3元」

 「それってどこ?」

 「ただ、裏門出てまっすぐ」

 3元? すぐそこ? 2ヶ月越し続いた海南島五徳戦争の収束は、3元で可能?

 まぁそれを買うと、この戦争は私の負けで終わるんですけどね。いいか、負けても。映画「氷の微笑」でも、主演男優ははシャロン・ストーンにあっけなく(というかはじめから)負けてるんだし。

 あ、自分のことをマイケル・ダグラスみたいに。おほほほ。

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コメント

3元の領収書をシャロンストーンに渡してみては・・・?
どうなるか 知りたい(笑)
黙って自分のお財布から出すのか、はたまた そのまま知らん顔になるのか・・・?
あるいは3か月くらい経ってから返金されるのか・・・

お金の問題じゃなく、彼らの責任の問題だと思うんですけどね。

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