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2014年11月27日 (木)

北緯17度の熱帯でサンマの塩焼きを食う

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 日中の運動量が足りないと、睡眠が浅くなり、夜に何度か目覚めることになります。そこで枕元に置いてあった書籍が池澤夏樹の「静かな大地」だったりすると、数十分でふたたび穏やかな、静内の初夏の海のような眠りの中に戻れるのでありますが、たまたまスタンド脇に置かれているのがル・クレジオの「物質的恍惚」だったりすると、言葉が目に見えるジグソーパズルのピースのように頭の中に散らばり、「創造物」「が」「埋没」「する」「めくるめく」「深み」「できごと」「が」「ここで」「終わり」「あそこで」「やんでいた」……私の眠りたいという意思と関わりなく躍動跳躍して金輪際眠れないのであります。

 日中になるべく体を動かすということで、散歩を敢行いたします。どの時間帯でも無数の屋台が出ているのでありますが、私に不可解なのは同じ商店主が同じ場所に同じ屋台を出して同じものを商うとは限らないということであります。月曜日に師範大学前で餅(ビィン)を商っていた人が火曜日にはどこにも見当たらず、代わりに別なおばさんが細めの巻き寿司を商っていたりします。

 ある日、ある屋台の前で私の目が釘付けに。

 サンマの塩焼きではないか!

 まるまると肥え太ったサンマが、今焼き上がったばかりという風で油を滴らせながらアルミのバット上で売られているのであります。

 10尾買って冷凍しようかと思いましたが、いやいや待て待て、ここは一番味見てから、と思い、1尾だけ買うのであります。善良そうなおばさんはサンマの横で青梗菜のスープ煮を商っておりましたから、一緒に買いました。両方で9元、170円強であります。たぶんサンマが5元青梗菜が4元というところでありましょう。

 できれば姿で買いたかったのですが、「帯走」という私の言葉を聞くとおばさんは瞬時に発泡スチロールの容器を取り出し、頭と胴体と尾、3つに分けてしまいました。惜しい。私に中国語が話せたら、「折らないで。そのまま往年の入江たか子みたいに口にくわえて家まで運ぶから」というところだ。んでおばさんが「入江たか子ってシェンマ?」とか聞いたら、「鍋島騒動の化け猫の……」と、とてもそんな中国語力はないので、やっぱり折られたサンマで諦めるのであります。ただ、頭部を捨てようとするおばさんを、「要!」と止めることはできました。

 軽く電子レンジで温めて、夕食にいただきました。

 涙が出るほどの(本当に泣いていたかも)まぎれもないサンマの味! 過剰に脂がのっているようでありましたが、塩は多すぎず少なすぎず、絶妙のバランスであります。内臓も腹膜も丁寧に取られていたのは残念でありましたが、まぁ内臓は……北海道釧路産のサンマと同じに考えてはいけないかもしれませんな。海の不純物は魚さんでも内臓に貯まるのであります。頭も骨もしっぽも、全部いただきました。垂れた脂まで、ご飯にかけていただきました。

 う~む赤平の自宅の台所が目に浮かぶ。生活協同組合の鮮魚売り場が目に浮かぶ。

 もちろん、私は次の日も同じ場所へ行きました。しかしサンマ売りのおばさんは今日はいずこへ行ったやら、同じ場所で、別なおばさんが檳榔樹の実を並べておりました。見渡す限りサンマの屋台はありません。泣きながら檳榔樹の実を買って塩をふって焼いてやろうかと思いました。

 やっぱり10尾を買って冷凍して食べたい時に食べるのがよろしいのか。

 あのおばさんに出会えるのはいつか、と、夢想し続けるのがよろしいのか。

 それにしても。

 日本じゃ選挙だ原発再稼働だって皆さん忙しくされているのに、私だけ北緯17度の島でサンマに狂奔しているのは申し訳ない。……で? 選挙って、衆議院ですか参議院ですか?

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