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2014年10月 9日 (木)

ついに授業が始まった

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 109日。

 海南師範大学における、私の最初の授業でございました。ビザ戦争、カビ戦争、プリンタ戦争と、3つの大きな戦争を経てようやく到着した教室でございました。

 私のような者を懇切丁寧に、毎日にこやかに指導してくださるすばらしい先輩、W先生に案内されて108日は通勤バスに揺られて桂林洋学舎の見学、9日の今日は同じバスに乗って実際の授業。

 海南師範大学は、龍昆南路学舎と、桂林洋学舎と、2つに別れているのであります。なぜ私のアパートが、授業場所から遠くにあるか。中国の大学も日本と同様、将来の移転を前提とした新キャンパス造成・建築が盛んであります。桂林洋は海口市郊外、海に近い新興開発地であり、そこにできているキャンパスの方が龍昆南路よりはるかに広いのであります。広い……この、大学キャンパスの広さというのは中国では半端じゃありません。歩いても歩いても隣の棟へはたどり着かない。あまりにも広すぎて、生徒は寮から授業場所、食堂や体育館への移動に自転車を使う、電動バイクを使う。

 私たちを乗せた通勤バスは龍昆南路を出発すると45分の移動時間で桂林洋に到着しますが、キャンパスに入ってからも教職員を下ろしながら走り続けます。経済学部棟で下ろし、貿易学部棟で下ろし、最後は私の行き先である外国学部棟に停車する。

 109日、7時ちょうどに通勤バスは出発しますが、緯度の低い海南島では少し前に朝日が昇ったばかり。バスの窓から、徐々に高くなってゆく真っ赤なでっかい太陽が見えています。大地に鉄分を含むのか、桂林洋の大地も赤い。水田は極端に少ないですが、ずっと生育の早そうな葉野菜の畑が続きます。のんびりと水牛が人に付き添われて耕作しています。水牛による耕作を見るのは1998年のインド以来かもしれません。

 その気になれば地平線が見えそうな土地に、高速道路はゆるやかにカーブを描きながら走り、海南師範大学桂林洋キャンパスはとつぜん出現します。

 授業。

 生徒は、ニコニコ笑って私を迎えてくれました。驚いたのは、全員が教科書の本字授業箇所を朗読練習してきたこと。教科書をのぞき込むと、びっしり漢字の読みが書いてあります。私は教科書を自分で読むことをやめました。はじめから、生徒を指名し、なるべく大きな声で朗読を指示。ある生徒はイントネーションも漢字の読みもきわめて良好、ある生徒は、たとえば長音「テーブル」「スープ」の読みが不慣れ。「テブル」「スプ」に近い、ある生徒は、読み込みが不十分だったらしく、「私の家は二間です」道路の幅は二間あります」の読み分けができない、などという問題はありましたが、授業準備はきわめて良好という印象を受けました。だいたい、「二間」を「ふたま」と読むと部屋の数、「にけん」と読むと長さ、なんて、日本語を習い始めて2年目(というか、1年が終わったばかり)という学生に、すでに高度な理解の要求というものであります。でも、要求することをやめたとたんに、楽にはなりますが将来にまたがる地獄巡りを招来することになります。

 褒めながら、しかし要求水準は決して下げない。中国でも日本でも同じであります。

 私を知る人は、ここで上の1行を冗談にするオチャラケを挿入すると思うでありましょう。

 ここに限り、オチャラケないのであります。自分の仕事をオチャラケるのは並外れた実力を持った人にのみ許された余裕であります。

 明日も同じことを私はするでしょう。事前の予習にかなりの集中が見られるということは、本日の2年でも4年でも確認できました。でもその朗読をチェックする人がいないので、「テーブル」が「テブル」になっちゃう。明日は、「ジェットコースター」や「バスケットボール」のような、モーラ言語である日本語の特質をよく表す単語をいくつか紹介し、「拍」の概念を語ることになるだろう。中国人は難しい発音は得意ですが、この11音を同じ長さで区切る、といいう拍の概念をなかなか理解してくれない。大事な課題であります。

 4つめの戦争は、「拍戦争」。

 でも、楽しい戦争であります。

 

 付記。

 本日は、日本から段ボール1個の支援物資が届きました。ふりかけやカレールー、サランラップ(中国にも同じものはある。保鮮膜という。でもおそろしく使いにくい)、衣類、DVD、その他。日本からの手紙も入っていました。

 不覚にも泣きそうになりました。でも泣くことを自分に許すと際限がなく弱っている自分を認めることになる。それは気持ちよく、しかも癖になります。

 生徒にも、自分にも、要求水準を下げてはいけないのであります。

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