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2014年10月14日 (火)

残念ながら中国全体のことは全く知りません

 あっちゃん様、お立ち寄り&コメントありがとうございます。

 残念ながら、中国全体のことは全くわかりません。中国では日本の高校に当たる年代から(中国では高中)選択で日本語を習う生徒もいますが、それに大学、専門学校を加えて140万の生徒が存在するという情報に接したことがありますが、正確さには疑問があります。ただ、減り続けているのはどうやら確実です。多くの大学・専門学校で、日本語科の教室数が減っています。また、いったん設置した日本語科のクラス数・教室内定員を満たすために、他学部・他学科希望の生徒から成績不良者を転科させるということも行われている、それも本当です。ある学校では、日本語科の生徒のうち、日本語が第1希望で「ない」者が80%にのぼっているということも聞いたことがあります。1人の日本語教員として非常に悲しいのですが、事実でしょう。80%を越えている学校も、きっとありそうです。

 中国には「高考」という有名な制度があります。6月中旬のある日、高校生が一斉に大学受験に臨むのです。同じ問題、同じ時刻です。壮大な行事です。我が子を試験会場へ送迎する親の車で、町によっては大混雑。私にはその気持ち、わかります。なにしろ1回のその結果で、希望の大学、希望の学部希望の学科へ進めるかどうか決まります。

 しかし、第2希望、第3希望へ進むことを制度上強制されても、気持ちを切り替え、それを受け入れ、以後は懸命に努力する姿勢を、中国の若者は持っています。ある人は、上に書いた「高考」の日に体調が悪く、希望の点数が出ませんでした。第1希望の大学には進めず、どうするか家族で話し合っている内にどんどん第2希望の大学・学部も他の人によって埋まってしまい、ついに名前を聞いたこともない、どこにあるかも知らない大学へ進むように言われました。経済学が希望だったのに彼女に割り当てられたのは外国語学部日本語学科でした。

 彼女は毎日泣いたそうです。

 しかしそこからが、さすが中国人です。

 家族と別れ、入寮の日から彼女は気持ちを切り替えました。毎夜遅くまで8人詰め込みの寮で勉強しました。気づいたら、1年次の終わりには成績がクラスでトップ、5000元の奨学金も受け取ることができました。3年生になった時には、中国語がわからない日本人先生が1年生に授業するための「通訳」要員に選抜され、立派にその職を果たしました。単なる通訳ではなく、1年生の悩み相談、勉学相談にものるわけです。(少額ですが、大学から報奨金も出ます)

 彼女は卒業するまで毎年クラス代表として奨学金を受け、卒業してからはやや紆余曲折がありましたが、現在は蘇州にある日本の醤油メーカーで働いています。そこの社長は日本人です。社長専属の通訳というわけです。彼女は今日も私にメールをくれましたが、「これからのことはわかりません。通訳能力が向上しないと別な部署にまわすと言われています」ということでした。努力の日は続きますが、私は彼女のことを信じています。

 残念ながら、私には中国全土のことは全くわかりません。中国における日本語教育の現状と言うことなら、私などより他の人の研究・調査がはるかに有効です。その成果もネット上で閲覧することができます。私にわかるのは一人一人「個別」の物語です。直接に聞き、その喜びや戸惑いに触れます。そこには色々なドラマがあります。

 

 ただ一人の日本人外教として、中国全土で日本語学習者が減り続けていることには、心を痛めています。対中投資が減っているのはどうやら本当のようだし、上に書いたキッコーマンのように新しくできる日本の企業の工場もありますが全体としては日系企業がゆるやかに撤退しているのでしょう。

 ある生徒が語ったことも忘れられません。

 「日本語を使って就職することはもうできないでしょう。しかし勉強し続けるしかありません。一つの文化として日本語に接した、私の大学生活はそれで充分です。」

 この切り替えの潔さは彼女の財産だと思います。これは「諦め」なのか「転進」なのか。もちろん、すべての人が彼女のように考えられるわけではありません。

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