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2014年9月 1日 (月)

移動それ自体が目的、とジムロジャーズは言った

Touringowari


 昨日の記事の続きです。

 旅というのは、目的地も大切ですが、移動することそれ自体が目的でもあります。ということは、その移動の手段が大きな意味を持つということです。私みたいなボウフラが言うと「なにそれ」という感じですが、全世界総延長距離十数万キロをバイクで駆けめぐった投資冒険家、ジム・ロジャーズがいうと、大変にありがたい宣託なのであります。

 ある地点からある地点へ何で向かうか。空調ばっちりの、居間にいるかのように快適なクラウンで向かうか、パワーハンドルやナビはおろかドアも屋根も付いていないJ53で向かうか、鉄道か歩きか自転車か。

 7月下旬から私は、中国暮らしを支える体力作りのために自転車を始めました。そうするといつも4輪車で訪問する芦別市が、全く違って見えます。赤平~芦別、17キロ。たったそれだけの移動が、手段が何かで風景を違って見せます。ちなみに芦別へは、徒歩でも行ったことがあります。同じく、まるで別の町に見えます。

 北海道をあちこち移動しました。私だけでありましょうか、4輪車で訪問した町だってそれなりに素敵でしたが、バイクで到達した町の思い出は格別なのであります。

 どんな町だったか。

 何で行ったか。

 かつて、北海道で一番おいしいコーヒーを飲ませる喫茶店は「ナジャ」さんでありました。最初にそこを訪問した時、私はバイクに乗っておりました。奥さんのコロナでも複数回行ったし三菱のジープでも何度も行ったけど、なぜだか記憶が鮮明なのはバイクの時であります。どこにどんな風にバイクを止めたか。コーヒーが運ばれてくるのを待ちながらマスターとどんな会話をしたか。お店にどんな香りが漂っていたか。私の他にどんな客がいたのか。不思議と、4輪車で訪問した時は記憶が薄い。

 ナジャさんは、もちろん目的そのものでしたけど、そこまでの移動も、疑いもなく目的であったのであります。そしてそのことはバイクの時いっそう鮮明になります。バイクにまたがって見ないと見えない風景があったのだ。行って、帰る。その時間全部に張りつめていた濃密な移動の緊張が、風景を作った。

 忘れられない町というのを、私たちはそうやって作ったのであります。時にそこ、貴重な「そこ」から思い出したように発信されるメールを読むときの幸福を、止まれば倒れる危険な乗り物で、作ったのであります。

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