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2014年9月15日 (月)

さすがエール大学の名誉教授だけのことはある

 私は相当にわがままな、「自分さえよければいい」という考えと態度の人間です。私は株は買わないし外貨預金も致しません。20128月から2年間は中国におりましたので、そもそも消費税を払いませんでした。(固定資産税や所得税、国民健康保険はもちろん払いましたが)日本の経済に何も貢献していない。実際に、ブログにそのような生き方を罵倒するコメントを頂戴したこともあります。「ちゃんと日本で暮らして税金を払え。それか、そんなに中国が好きなら永遠に日本に帰ってくるな」という、とても理性的で理路整然とした私の人生への忠告でありました。もちろん私は、海より深く反省いたしました。

 私がどこで暮らしどれくらいの税金を払うか今後の見通しについては自分自身でさえ分からないのでありますが、それでも、915日の日本経済新聞の第3面に掲載された浜田宏一・エール大学名誉教授の論にはおおいに首をかしげるのでありました。首を深い角度にかしげすぎて頸椎捻挫の症状を呈しております。今夜は温泉に入らないと。

 名誉教授は、消費税を10%に上げることについて、「大幅な法人減税と一体なら、景気が良い限り許容されるだろう」と、おっしゃるのであります。

 現在の景気動向が、駆け込み需要とその反動の影響とか、GDPの落ち込みが続くなら増税はやめた方が良いとか、ろくに新聞も読まないゲーム漬けの中学生でも言いそうなバカなコメントを同じ記者に語っておられますが、私の首を頸椎捻挫の重症に至らしめたのは、次の文言であります。

 「高い税金をかけると会社は国外に逃げてしまう。諸外国が法人税を下げ、企業誘致を進める中で、日本もこの動きに対応しなければならない。」

 って、なにそれ。

 まず、法人税を下げないと巨大企業から順に海外へ拠点を移すからどんどん空洞化が進むぞ、という経団連幹部の恫喝は昔っからあるじゃないですか。古い、あまりに古い。そして、答えも出ている。逆に中国を中心にして海外から資産投資が引き揚げの傾向を示しているそれを名誉教授はどう説明するんですか。なお「法人税が安いから海外へ」と本当に思う企業があるなら(いくつかはありそうだ)、どんどん出て行って、いいと思います。日本に本社のある大会社で日本以外の土地で日本人以外を雇用し大量に商品を生産しているという例はいまなお、いくらでもあります。それらの会社が目指すのは安い法人税なんでしょうか。違うでしょう。チャイナ・リスクを取っても、トヨタもホンダも日産も中国に巨大工場を設営する、その理由は、労働力の安さと、何より中国が「市場」であるからでしょう。日本で造って中国へ運ぶより中国で造って中国で売る方が誰が考えたって合理的だ。スズキも中国でバイクを造る。私の大好きなカワサキはマレーシアで造る。ホンダはインドと中国で造る。法人税が安いからですかと名誉教授はちゃんと聞いてみたらいい。答えは、「そこで売るから」だ。

 もちろんそうじゃない場合だってある。ベトナムにはニトリの巨大工場がある。完成品はその多くが日本へ運ばれる。でもニトリにとっての合理性というのは原材料(パイン材)の確保と労賃の安さだ。法人税じゃない。

 だから、労賃が日本人が要求する水準に近づくなら、どんどんと企業は生産拠点を別の国に移す。あるいは日本回帰を目指す。日本にはエースラゲージ株式会社という日本一の鞄会社がありました。1940年創業と言うから老舗である。1971年に赤平市に生産拠点(!)ができ、市の基幹・重要産業になった。しかし1979年に上海に赤平工場をはるかに凌駕する巨大工場ができ、市民はおおいに心配した。70年代というのは日中の急接近の時期だったからあり得る動きだったのかも知れない。しかしそののち、SARS流行による海外旅行の一時的な冷え込み、中国の労賃高騰、2008年のリーマンショック等があり、エースラゲージという会社自体の今後の運転方式が見直されるかも知れないと、赤平在住の私は思っている。それは、希望でもある。上海工場が出来てたったの十年ほどで、赤平の工場の稼働日数は減ってゆく。週休2日が3日になり、ラインの中には止まるものもでてくる。しかし、これからのことはわからない。私は、やがてこの超優良会社は日本に「帰ってくる」と信じている。

 「法人税を下げないと俺たちは日本から出て行っちゃうぞ、それでもいいのか」という経団連幹部の恫喝と、全く同じことを口にしちゃう無反省な老人がどうしてエール大学の名誉教授なのか、どうして安倍の経済政策顧問なのか、理解に苦しむ。

 私はただの1円も株式投資なんかしない、それでも(あるいは、だからこそ)思っている。出てけ、どんどん出てけ。地球は有限でありグローバルという発想自体虚妄である。先日、「インドの民の全てが先進(?)国のようにフォルクスワーゲンを保有したら地球はどうなるのか?」と国際会議で発言した人がいたようだが、真っ当だと思う。有限であるものを無限のように見なしそれで日本人を恫喝する奴が日本人であるなんて誰も(少なくとも私は)信じない。

 私のブログに、私のことを売国奴呼ばわりするコメント主さんが、時折やってくる。私も偉くなったものだと思う。売国奴? 私にはそんな器量も学力も知識も影響力もない。

 しかし、売国奴という輩がどこにどんな顔をして、居るか、ということなら、ある程度は知っている。

 

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