« 思い出を語り始めたら老人で、説教を始めたら廃人だ、と言ったのは…… | トップページ | 海南島入り直前……ビザ入手できないでヤキモキ »

2014年8月19日 (火)

疑いもなく63年の生涯でもっとも嬉しい夏

Aoiike


 疑いもなく
63年の生涯でもっとも幸福だった夏。

 それが終わろうとしています。北海道北空知地方はもうすっかり秋です。朝夕の散歩は完全に長袖が必要、ナナカマドは色づきトンボは晴れの日にはびっしり電線に止まっています。

 たくさんのお客をお迎えすることの出来た夏でありました。久しく会う機会のなかった親戚たち、中国黒竜江省からやってきた複数の留学生、ホンダのリトルカブで北日本一周中の埼玉の大学生、長女の配偶者、そしてこれはお客とは言えないけれど、たった2日間でしたが本州や海外に散らばっている3人の子どもがこの北海道の辺境の家に集結したのも、大いなる喜びでありました。

 多彩なお客、10数年ぶりに本拠地でそろった家族。

 深い心で、いささか個性の強い我が娘をしっかりと掌握・抱擁してくれているその結婚相手。千葉県内にある某男声合唱団でテナーを担当する、素晴らしい男性です。

 高校の理科の教師である彼と、最近有名になった美瑛町の「青い池」に出かけ、近くの温泉の露天から間近な火山の岩肌を眺め、大量のイタリアンを食べ、シチリアのワインを飲み、翌日には高速道路で片道300キロほどを移動して昭和新山を見学に行きました。勉強家で博学な理科の先生は自分から何かを「教える」ことはめったにないけれど、聞けば丁寧に、分かりやすく知識を披瀝してくれました。北海道ではヒグマに襲われて死ぬ人間より大スズメバチに刺されて死ぬ人間の方がずっと多いが、その生態についてであります。つい最近私たち夫婦は家の大屋根に出来たサッカーボール大の巣を撤去してもらったばかりなのでありますが、なぜスズメバチの成虫は巣がないと食物をとれないか、ということであります。(幼虫に餌を与え、幼虫がはき出した未消化物を成虫はフィードバックしてもらう。だから巣に帰れない成虫は数日で死ぬ。)

 何かを本当に知っている人ほど、自分から「それはですね……」と語ることがない。中国の賢人は「愚者は教えたがり賢者は学びたがる」という格言を残した。そのままの人物でありました。(私自身は、孔子が指摘した『愚者』に該当する。)何かを話しかけると必ず最初に「そうですね」という肯定的な相づちから始まり、発言の最後が「やっぱり……ですね」なのです。そういう若い人はあまりいません。(オジンにはもっといない)

 818日午後、ついに別れの日が来ました。千歳空港で「東京へ帰りたくない。今から赤平に戻る」と言った娘も数時間後には「ただいま羽田経由で我が家」というメールをくれました。

 寂しさと異様な虚脱感が、いま私の中にあります。気を取り直して中国行きの荷物のパッキングをしないといけないけど。

 お客様を迎える時によく私たちは「自分の家だと思ってくつろいでください」といいます。

 無理です。

 わがまま一方の人は(それに無自覚であるほど)あまり疲れません。配慮深く、相手に誠実で、「今、この人と過ごす時間を実りあるものにしよう、楽しいひとときを過ごそう」と思っている人が相手の心を読み取り、自分をコントロールし、その誠実な努力を2日間続け、疲れないわけがありません。どんなに好意を示しても、その好意が本心からのものであっても、しょせんは(言葉は悪いが)他人です。疲れないわけがない。誠実だから疲れるのです。

 それを表に出さない人というのも「さすがだな」と思います。

 

 さて。

 これから結婚する男が、2人、我が家におります。彼等は、今回お迎えしたような男性から、ちゃんと何かを学んだのか。自分も結婚後、そう振る舞えるかどうか。

 こればっかりは先にならないとわかりません。

 

 写真は、美瑛の「青い池」。新聞記事どおり、駐車場入り口から美瑛市街地方向へ、2キロほどの渋滞が発生していました。写真より、はるかに現地の眺めは神秘的でありました。

« 思い出を語り始めたら老人で、説教を始めたら廃人だ、と言ったのは…… | トップページ | 海南島入り直前……ビザ入手できないでヤキモキ »

旅行・地域」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/589238/60175880

この記事へのトラックバック一覧です: 疑いもなく63年の生涯でもっとも嬉しい夏:

« 思い出を語り始めたら老人で、説教を始めたら廃人だ、と言ったのは…… | トップページ | 海南島入り直前……ビザ入手できないでヤキモキ »