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2014年6月 3日 (火)

内モンゴルの家屋は日干し煉瓦でできていた。万里の長城は……

 中国では試験問題は1ヶ月前の提出が義務づけです。日本の高校では1週間前に教務に提出、が常識だったので(私の赴任校だけ?)中国へ来た当初、この「1ヶ月前の提出」にかなり違和感がありました。

 あまり早く問題を作りすぎると、漏洩の危険性も増すということです。私の着任した高校には、漏洩を憂慮するあまり、考査の前日の夜か当日の朝にならないと作成/印刷しない、という正しい先生が複数いました。それって国語の先生に多いのであります。

 でも中国には中国のルールがあるので、私は指定された日にびしっと作成、USBメモリに入れて、もちろん印刷も済ませ、「どなたに出したらいいですか?」と胸を張ります。すると教務の先生は、「まだ受領担当者が決まっていないのでそのまま持っていてください」と言われます。

 ほとんど海のように広い満州里の草原を思い浮かべながら、ううむ悠久の大地に生きてきた人はすごい、と感嘆するのであります。

 悠久と言えば。

 先日は昼後区のあるGUN人が「……の島は2000年の昔から『中国』が管理支配してきた」とおっしゃいましたが、もちろん2000年の昔にはそんな国は影も形も無く、当時の漢と今の国とに連続性なんかないはずだから、要するにこの国の人が「そうだ」と言えばそうなのだと、不思議に納得させられてしまうのであります。正鵠を得た回答などどこにもない。突っ込む側も答える側も要は「物語」を語っているのでありますから、彼と真面目に議論する人など現れないでありましょう。

 しかし。皮肉を交えずちゃんとものを言うとするなら。

 国内のどこにも真面目に客観的に歴史を解明しよう、語ろうとする人がいない、そのような国は主観的にはどうあれ、客観的にはひどく不幸であります。それによってどんなに発展と国力の増強があろうと、不幸は不幸であります。知らない人はしようがないが、私は自分の子どもが自分に嘘をついて満腹するなら、しょうしょう腹が減っても真実をさがせ、真実を知らない不安を抱いてなおそれを探す誠実な人になれ、と言うでありましょう。

 歴史がない。あるのは政治だけだ。とすると、無残に闇に葬られた歴史の欠落を埋めるために(埋めることなどできないが)残った「政治」はどんどん強化される。いや、それとて強化など出来ないわけだから、ただ「歪む」ことになる。

 歴史がない国の代表はアメリカである。真面目な小学校の先生なら、「200年前にこの大地に渡って来た私達の大恩人は、もともとこの地に住んでいた先住者を殺戮しながら西へ西へと進んだのです」と説明するだろうか。しない。私は、いちどある人が「キリスト教の教義によれば主は私達に領土の拡大を成し遂げよ、とお命じになられた」というのを聞き、比喩でなく吐き気を覚えた。

 そんな「神」がいるとしたらそれはもう宗教ではない。

 政治だ。

 単に政治だ。断じて宗教などというけっこうなものではない。政治だ。政治にしても相当に歪んでいる。

 何度も言うが、私は主観的にはどうあれ客観的にはアメリカ人ほど不幸な人はいないと、思っている。

 話がそれた。

 歴史がない国はそれが「ない」のだから当然過去に学ばない。政治的に、どんどん歪む。

 ……と、ここまで書いて、私はひどい混乱に陥る。

 歴史を放擲して国民に「俺の語る『経過』が歴史なのだから他の言葉には耳を貸すな」という。それを言うためには国民が充分幼く無知であるかあるいは言うことを聞かない者を命の危険にさらす必要があるがともかく言う。だとしても、自分のものではない島を自分のものだと言い続けるために百隻の軍船とおびただしい将兵を派遣し、絶対に議論にならないような幼稚な「お話」を国際会議で「恥」をいとわず陳列するという不合理はなんなのだ。

 どれほどのガスが、原油が、埋蔵されているのか知らない。しかしそれに見合うコストだとはとても思えない。失うものが多すぎる。アメリカの現在の衰退は世界で一番軽率に軍事力を行使する国家でありつづけたせいだが、私は現在の…いま私が話題にしている国の…すがたも、じゅうぶんに自滅的に思える。国内には旺盛な需要があり生産力もある。毎年700万を輩出する大学新卒者が職を求めて全土を徘徊する様子を見ていると同情を禁じ得ないがまぁ日本だって似たようなものだ。とにかくそういう面を考えに入れても、7.5%の経済成長を10年続けるという勢いはすごい(ここは皮肉でない)。とすると、自分のものじゃない南の島に手を出す必要性などそもそもない。

 30兆円という軍事費は増大し続けるだろう。230万人の軍人に日本円にして1000万を手当てしたとして人件費だけで23兆円、そして今やっていることは軍事のとほうもない膨張にほかならないのだから、来年、再来年、と加速度的に増えていくことは明らかだ。

 古来、もっと金を寄越せと「軍人が」叫んでその通りにした国家で衰退しなかった例など「ない」のだ。

 金がない、という。中央が「じゃあ紙幣を刷れ」というかもしれない。それがもっとも困る。ドルに代わって基軸通貨への道を歩み始めた人民元がはじめからインフレの危険をはらんでいる。混乱するのはもちろんアジアだけではない。

 どう考えても今やっていることは不合理で自滅的だと思えてならない。誰もそんなこと言わない。私だけが狂っているのかも知れない。それでもそれでも、間違いに見えてしようが無いのだから、私はこうやって疑問を提出している。

 1980年代の日本の経済的成功はGNP1%しか防衛費に充てないでせっせと設備投資や通貨の厳密な管理に努めた結果なのだからそれに学ぶぐらいの謙虚さはあっていいだろう。……と思うが、まぁ無理だろうという気もする。

 

 内モンゴルの家屋が煉瓦で出来ている、私は煉瓦を焼く薪はどこから運ぶのか不思議でならなかった。

 無知はおそろしい。(ここで「無知」なのはもちろん私)

 ある先生がこともなげに「あぁ、もちろん日干し煉瓦ですよ」と教えてくれた。

 ひ、日干し煉瓦?

 万里の長城は焼いた煉瓦で作ったのに、日々の命を支える大事な国民の家屋を日干し煉瓦のままに放置する?

 内モンゴルの草原の中に点在する家がみんな、大なり小なり壊れている理由がわかった。わかって、なお私は納得しない。

 23兆のその数%でいいから内モンゴルの人のために煉瓦を焼く薪を提供しろ。

 あの、人の暮らしと南の島での振る舞いは相互に矛盾する。「いま南の島を暴力的に自国のものにしないと我が国が滅びる」というわけでは、決してないのだ。

 わからない。

 お前が1人だけ馬鹿なのだ、という声が聞こえてきそうだ。

 しかし。

 実にしばしば、私の心配した通りに、ことが運んだことがあったぜ。

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