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2014年6月21日 (土)

海外留学先でそれやると一発退学処分です

 私ももう中国に2年近くいるのですから(純粋に滞在している月数は20ヶ月弱だが)そろそろ中国流に慣れても良い頃なのですが、いまだ慣れないのであります。

 カンニングの習慣であります。

 「私だけがおかしいのかな。みんな平気みたいだ。私が変わったらいいのかな」というと、すかさず「いいえ、先生は今のままでいいと思います、日本流を貫いてください」と言ったのは、現在日本の京都にいる私の通訳(だった)、趙さんでした。

 絶対に机の中に手を入れるな、写す写さないに関係なく、隣の人のプリントは見るな。携帯電話をカバンの中にしまえ。

 一応、言うとおりにはしてくれます。しかし、不正行為の用件を全部例示することはできません。

 で、ベルが鳴り試験が終わって。

 成績の揮わない生徒の集団が、成績優秀者の所へ集まって、いっせいに写し始めました。30人ほどのクラスで、さて、56人もおりましたかしらん。

 愕然としました。

 「何やってるんだ」

 「私はよく出来たので、見せてあげています」

 「冗談じゃない、すぐに出せ」

 「なぜですか。皆の点がいい方が先生も嬉しいでしょう」

 ……絶句しました。

 こうなると、不正行為という認識があるのかどうか疑わしい。よく勉強した生徒があまり勉強しなかった生徒に、正解を見せてあげる。それを「早く集めろ」という私の眼前でやるのですから、本当に悪意なんかないのかもしれない。いいや、善き行為であるという確信があるのかもしれない。

 成績優良者の正解をみんな(みんな、というのはオーバーだが)で写す……。

 成績優良者も、それを「当然」と受け止めている。「ほら、先生私はいい人でしょう」とでも言いたげに私に笑顔を見せたりする。

 文化の違い……いや、違うな。

 不正とは何か、という言葉の解釈の違い……いやそれとも違うな。

 

 

 推敲、という言葉があります。「推」は、押す、「敲」は、叩くであります。

 ある若者が、公務員試験のために都を訪問した。

 明日は試験当日だ。科目は詩作でそれはほぼ完成している。

 しかし、「僧は推す月下の門」の「推」を「敲」にするかどうかの迷いがある。

 馬上で考え事をしたために、若者はなんと都の長官の乗った馬に、衝突してしまった。

 若者は詫びる。「申し訳ありません。明日は科挙の試験の日なのです、提出する詩の字について考え事をしていたために、あなたの馬にぶつかってしまいました。」

 長官は若者を叱らず、逆に親切に教えてあげます。

 「君、そりゃ『敲』のほうがいいよ、門を推しても音は出ない。しかし敲くと、とーん、とーん、という音がする。その音が、月下の門のたたずまい、静かさ、僧が友人と別れていた年数を暗示する」

 ……立派なアドバイスであります。この故事から、文章を練ることを推敲という、その言葉が誕生した。

 しかし。

 冗談じゃない!

 アドバイスしたのは都の長官である。言うまでも無く公務員を採用する側、試験官だ。その試験官が、よりによって一番大事な詩の完成度について決定的なアドバイスをするか!?

 その文化がある。

 しっかし。

 海外に留学している中国の大学生は、大丈夫なのかな。中国流でやると、下手したら一発退学処分だよ。

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