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2014年6月 6日 (金)

在満州里手表売的少女

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 満州里の旅で報告し忘れていたエピソードが
1つありました。

 満州里の鉄道の駅は本当に寂しいです。長距離列車が到着するとうわっとタクシーの運転手が集まりますが、一瞬の喧噪が終わるとだぁれもいない駅に戻ります。そして次の列車が発車するか到着するかとにかくその時間が近づくと、また少しずつ人が集まり始めます。

 ロシアとの国境を見終わり、いかなる経済原則にも基づかない、だぁれも客のいないテーマパークを横目で見(ディズニーランドなどごく一部を除き、日本だって似たようなものだ)、駅前のコンビニの店主と世間話を終えると、本当に退屈。鉄道線路を渡って、駅裏の公園へ。ここには毛沢東じゃなくなぜだか周恩来の像があり(ものすごく男前だった)近くで散歩していたお年寄りと、「周恩来は好きか?」「大好きだよ、中国人で周大人のことが嫌いな人はいないさ」みたいな会話をするのですが、それもあっというまに終わってしまう。

 周恩来さん公園内のベンチに寝転んで、「あぁ本当に満州里の空は青いな」とか石川啄木みたいに呟いてみましたがそれにも退屈。

 駅の構内で時間をつぶそう、と思って戻りかけると、来た時にはなかった露天がオープンしていました。露天と言っても単に鉄道線路をまたぐ陸橋の上に紙を敷き、そこに商品を並べただけの、1分で営業が可能になり雨が降れば(降りそうに無いけど)30秒で撤収可能な本当の露天です。

 時計を売っていました。

 なぜだか店主は小学生高学年ぐらいの女の子でした。今から思えばそりゃ金曜日の昼過ぎなのだから学校はどうすんだよというお話ですが、とにかくそうだったのであります。

 やたらとでっかい、腕にはめたら肩こりしそうな多針式の男物の時計。つまり私の好みであります。

 ハルピンの服装城で150元で買ったロレックス(!)は23回リューズを動かしたら壊れました。今は置物になっています。それを思い出しながら、「多少銭?」

 彼女の返事は、驚くべし、綺麗な普通語で「85元」日本円にして1400円であります。

 ベルトだけでも安い。それでもまぁ、ここは中国であります。「50元なら買うよ」普通なら、簡単に50元になるはずです。

 少女の返答が面白い。「如果便宜売、我父就打我」で、泣きそうな顔をしながら突っ立っている私の靴の甲を、その細い指で突っつくのであります。

 私は即座に「85元好、我買、我買」

 近くにいた、男の露天主があきれたように私を見ておりました。

 で、時計を箱に入れて手渡してくれた彼女に100元札を渡し、おつりの15元を受け取り、その場を離れました。

 瞬間、「きゃはははは」という、ものすごく嬉しそうな笑い声が背後でしました。事態の経過を周囲の露天主に報告する、明るい声も聞こえました。私は不愉快になりませんでした。彼女の笑い声が本当に嬉しそうで、私をあざけるものではなかったからです。

 「あなたに安く売るとお父さんが私を叩きます」というのが嘘だと言うことぐらい私にはわかります。こういう日本人の振るまいが、中国での「日本人価格」を作り出しているのだ、ということもわかります。

 でも、たまにはいいいじゃありませんか。

 彼女は家に帰ります。父に、「今日は変な日本人のお客が来てさぁ、父さんにほっぺた叩かれるから安く売れないと言ったら一発で85元で買ったよ」という報告をするでありましょう。

 たまにはいいじゃありませんか。

 その空想も含めて、私は85元で買ったのです。

 

 それはともかくとして。使ってみて。

 服装城のロレックスと違い、ゼンマイ式ではありませんでした。電池封入型の腕時計でした。さっそく、カシオの電波時計で校正し、腕にはめました。

 着けて歩いて1週間がすぎました。1秒も狂いません。もっとも、水仕事の時はもちろん外しております。

 

 たまにはいいじゃありませんか。

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