運動会、この呪わしい「管理の道具」
中国の大学生は、特に1年生が、大変です。
毎朝6時に、校地内全部に大音量の音楽が流れます。勇ましい行進曲です。それが鳴ったら寮からすべての1年生がわらわらと走り出てきて、所定の位置に集合します。体操、続いて40分間のジョギングです。ジョギングは「学長(男の先輩)、学姐(女の先輩)」と呼ばれる「代班長」がつき、出欠点呼と参加態度をチェックします。
これが、月曜日から金曜日まで毎朝あります。「大学生になって、雨が大好きになりました」という生徒がいます。正直な気持ちだろうと思います。体操+ジョギングは通常の時期は40分で済みますが、運動会が近づくと1時間目の授業がはじまる直前まで運動会の練習(早い話がマスゲーム)をやりますから、当然朝ご飯を食べる暇なんてありません。多くの生徒は前の夜の間にパンかその種の軽食を用意する、あるいは豆乳1本を飲んでの授業参加となります。その用意もない生徒は、午前中ずっと朝食抜きのまま、授業参加。
非常に体に悪い。
必然的に1時間目はダラダラする生徒も出てきます。すると通訳に入っている3年生(ものすごく優秀)が、「私達の時も全く同じだった」と叱ります。
同じだろうか? 確かに去年の1年生は、それを理由に授業への遅刻とか疲れを訴えるとかは皆無でした。しかし、1年の差で生徒がそんなに弱くなるものなのか?
管理の道具としての「行事」が、いっそうその性格を強めているのではないかと、思ったりするのでした。そして、これは運動会が終了する5月30日まで、続くことになります。すでに私の授業には甚大な影響が出ていて、所定の時刻に26名中4人しか来ていない、とか、唖然とする状況が続いています。この時期にはここまで授業を終えているはず、という当初の計画が(かなり詳細な授業計画を学期はじめに提出)ここに来て大幅に狂うことになります。
中国では子どもはものすごく大切にされます。バスでは小学校中学年ぐらいまでは大人が席を譲ってくれるし、買い物帰りは子どもは手ぶら、親が荷物を持ちます。小学校や中学校で授業が終わると、校門に親が迎えに来て、通学カバンを親が持ち、子どもは手ぶらで帰ります。それなのに大学生になると急に8人1部屋の入寮義務づけ、早朝のジョギングと夕方7時35分までの自習義務づけ、その他にもガチガチの規則の縛りがあります。
小さい頃にゆるめすぎた分、大学生になってから締めているのかもしれません。
逆じゃないか、という気持ちもしますが。
どっちにしても。
ご苦労様でございます、は、中国語で、「太辛苦了」であります。
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