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2014年4月20日 (日)

アメリカが大好き、アメリカが大嫌い

 アメリカという国が大好きでありました。

 今はテレビという、日本人からひとしなみに想像力を奪った(しかもそれは『国策』であった)画像の動く箱が大嫌いである私ですが、人生のある時期、恥ずかしいことにどっぷり、首まで、いや体全身、テレビに浸かって何も考えないですごしました。サーフサイド6、ルーシーショー、パパは何でも知っている、ララミー牧場、ローハイド、……「大草原の小さな家」の時はもうとっくにテレビからは足を洗い、代わりに吉行淳之介や筒井康隆を読み耽るのでありますが(え? 同じようなものだ?)とにかく朝起きた時から画面がしっかりあのサンドストームになるまで、テレビはついていたのであって、しかもテレビを見るということは自動的にアメリカの文化を見るということであったのであります。屋根のない車で、暑い戸外から帰った長身の男は探偵であります、白い(昔の画面は白と黒しかない)かっこいいパンツをはいたその主人公が胸ぐらいの高さの箱の扉を開けると中に不思議な飲み物が入っていて、彼はそれをおいしそうに飲むのであります。じきにそれは日本に上陸し、コカコーラと呼ぶのだと知るのですが、仮にそれが1本を飲みきれないような奇妙な味だったとしても、それはアメリカ由来であるから、飲みきれない私が田舎者なのであります。(田舎者は今でもだ。てかどんどん田舎者になる)

 今にして思うのであります、アメリカが大好きだと思いながら育った私の中で、いつしか「アメリカが大嫌いな私」が醸成されていたのであります。その感情が二極分離ではなく実は「一つの感情」であることを、尊敬する北野武監督は早くから述べられています。

 とにかく今、私はアメリカが嫌いだ。

 どんどん凋落していくアメリカ、それを全世界の人に知られてしまっているアメリカ、……もう「嫌い」でいる必要はないのだけど、それでも嫌いだ。マーチンのギターとアルテックのスピーカーはすばらしいが、それ以外にアメリカ製で欲しいものもない。だいたいアメリカはもう生産しない。あのハーレーだってヨーロッパのライセンス生産になった。そのとたん故障しなくなったのは皮肉だ。

 そのアメリカが迷走している。昔あこがれた映画スターが落ちぶれていく様子を見るように私はアメリカを感じている。だいたい、今度のウクライナの問題にしてもアメリカが何をしたかったのかさっぱりわからない。政権交代をさせてわざと不安定にしたのはアメリカだ。その時点ではロシアを困らせてやろう、ぐらいの思惑があったのだろうか、新政権は最初ロシアを公用語から追放し、あわててそれを撤回したが、ロシア系住民の不安は去らなかった。クリミアで分離独立(ロシアへの編入)を主張する人々が声を上げることは当然予測されたのに、「住民投票は認めない」なんて、言っても仕方のないことをそれでも言うぐらいのことしかできなかった。もしかしてオバマの頭の中に、NATOのプレゼンス維持ということがあったのか。なら、当然ウクライナに、有事となってもロシアと事を構えるに足る武器を供与する必要があったが、それもしなかった。アメリカの本格的な支援なしにロシアと戦うことなどできるわけがないのに、そして当然ウクライナはアメリカにそれを期待したのに、アメリカはただケリーに「しゃべらせる」だけで、結果的に「はしごを外した」。

 最近の四者協議だが、だれか分かるように説明できる人がいるのだろうか。

 ウクライナはドネツクをはじめとする東部地域を武力で鎮圧しないことで「合意」した。それは果たされるだろう。(だいたいそんな「武力」があるのかどうか疑わしい)ロシアは、東部地域の武装を解除させ公的施設の占拠をやめさせることで「合意」した。しかし、それは本当にできるだろうか。プーチンがドネツクのロシア系住民に「そこを退去しろ」と言っても、将来の個人と民族の生活や経済の安定・安全が保証されない限り彼らは応じないだろう。そして、四者協議ではロシアは525日のウクライナの大統領選挙を「妨害しない」と明言したが、そんなこと当たり前だろう、ロシアはウクライナの「他人」だ。

 アメリカはロシアを困らせようとしてウクライナに新政権が誕生するようにけしかけたのだろうが、結局アメリカのためにはならなかった。経済制裁でロシアが困っているようにはどうしても見えない。418日になってロシアは、日本の領土である国後に新しく軍事施設を造ると公言したが、あきらかに日本政府がアメリカの対ロ制裁に支持を表明した報復だ。実際に軍事施設が建築されるかどうかわからないが、せせら笑うプーチンの顔が見えるようだ。こういうのを「とばっちり」という。まぁ積極的に支持したのだからとばっちりとは言わないかもしれない。安倍が習近平のように「いや、我が国は理性的な解決を期待しつつ静観する」と言えばおもしろかったのに。オバマは激怒しただろうが、少なくとも今回のような「国後に軍事施設」発言を、このタイミングで言わせるってことは、なかっただろう。

 書けば書くほどアメリカが嫌いになる。安倍は「それは日本の国益だ」というだろう。どこが国益か。日本は資源のない国で、石油をはじめとする資源は国民が懸命に働いて資源のある国から「市場価格で」買うしかない。今はまだその資源の分配の采配をアメリカが行っているがもうすぐそれはできなくなる。誠に残念だが(同時に喜ばしいことだが)日本は自分で「外交」しないといけなくなる。どんなカードを持ち、どんな外交をするのか。ウクライナの問題で何ら実行能力を発揮しなかったアメリカの側についたということを世界に見せたあと、どんな外交をするのか、と私なら思う。今更ながら、軍事力で外交をするということは国力を損なうのだなぁと思う。ウクライナのことで本気で第三次世界大戦を心配した人がいる。それが回避されそうなのは本気で喜ばしいことだが、日本に生まれたことを誇りに思いたい私はなおアメリカにすり寄る安倍(と、霞ヶ関)が不満だ。

 525日に大統領選挙が行われるとして、やっぱりあの、外見からはまったく年齢不詳の怪物、ティモシェンコが当選するのだろうか。彼女はロシアが欧州へガスを売る時に自国を通過することを邪魔しないだろう。ロシアとの「軋轢」は続くだろうが、それはアメリカが期待するよりずっとソフトなものになるだろう。

 と、なると……? 結局、アメリカがしたかったことは何なのか、いよいよわからない。

 それはそうと。

 オバマが来るそうだ。

 日本政府は極端に神経をとがらせ、ガチガチに警備を固めるだろう。

 凋落していく、そしてそれを自覚している人間ほど、国家ほど、怖いものはない。彼らは絶え間なく、一緒に凋落させるのに都合のいい誰かを、国家を、見定めている。

 一番怖いのは、アメリカは複数の意思体の総称でありアメリカという一つの国ではない、ということだ。アメリカはイタリアが一つの国ではないのとまた違った意味で、一つの国ではない。そんなことは、テキサス州ダラスで起こった大統領暗殺事件の時からみんなが知っていたことだ。

 え? 文学的すぎる表現?

 あたりまえだ、文学者だもん。

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