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2014年4月28日 (月)

2つの苗字を持つ男子生徒が語ったこと

 ある男子生徒が、自分のプリントに2つの苗字を署名するようになりました。別にかまわないのですが、それが何なのか、気になりました。ちなみに1つめは日本の苗字で、2つめに書くのが自分の本当の(学籍簿上の)苗字です。

 「この2つの苗字は何なのか」

 彼は英語と習いたての日本語とをそれから中国語のちゃんぽんで、説明してくれました。シンプルな物語でした。

 「祖父は、日本のカナガワというところで生まれました。純粋の日本人です。彼が若い頃、第二次世界大戦が始まりました。祖父は、戦争には反対でした。中国人を殺すのも嫌だし、中国人に殺されるのも嫌でした。すると日本人が祖父を殺そうとしました。祖父は中国へ渡りました。中国の女性と結婚して中国の姓を名乗りましたが、戦争はだんだん激しくなり、今度は中国人と、中国にいる日本人と、両方が祖父を殺そうとしました。それでも守ってくれる人もいて、なんとか逃げ延びて、やがて戦争は終わりました。祖父は僕が生まれる前に死にましたが、話は父や母から聞かされていました。家には畳の部屋もありますが、それは祖父が造ったものです。僕は、祖父の苗字を受け継ぐ責任があります。」

 とてもシンプルな、わかりやすい物語でした。クオーターとして生まれ、19才になって日本語を習い始めた男子生徒との、日曜の昼食をとりながらの会話でした。

 

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