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2014年3月10日 (月)

偉い人のやることはいつだってわからない

 偉い人の考えることは、本当にわかりません。

 クリミア半島とウクライナの南の3都市(?)で3月中旬に実施される「ロシアへの帰属」をめぐる住民投票ですけど、なんで立派に自立した、どこの国の属国でもない国の官房長官が「無効だ」などと言ったりしないといけないのかさっぱりわからない。誰か、わかるように説明できる人がいるのでしょうか。

 菅が何を言おうが、住民投票は実施されるでしょう。ウクライナに新しくできた「親米政権」が安定的なものだとはとても思えず、そして早速やったのが「公用語からロシア語を追放」というのでは、ウクライナ東側の人は、そりゃ「プーチンさん助けて」と言いたくもなるでしょう。

 いやいや、評論家的なことを言いたいわけじゃなくて、私は大好きな日本の、いち国民として誇りを持って生活したいと思うわけなのですよ。菅がクリミアに対し、オデッサなど同様にロシア編入を目指す地域の議会に対し、「その住民投票は無効だ」と、言わなければならない、その理由はどこにもない。何を言っても住民投票は行われるしその結果もわかっている。新生ウクライナの指導者ドミトリイ・ヤロシは、クリミアとオデッサがロシアに走ったらウクライナの軍隊を動かすかもしれない。動かさないかもしれない。動かすとしたらアメリカが支援を約束してからだろう。しかしそんなことをアメリカの「いまの」世論は支持するのだろうか。軍事支援の前に100億ドルの融資を新生ウクライナに約束しているが、それもアメリカ世論は支持しているのだろうか。すでにアメリカは経済的に火の車なのに。それともそれもまた、「日本に肩代わりさせる」のか?

 怒るでほんまに!

 確実なことがある、それはアメリカが発動するロシアへの制裁だ。ロシアの銀行がドルを使えなくなる。決済通貨はどうする? まずEUはアメリアのわがままな制裁のおかげで大混乱に陥る。EUが消費する天然ガスの35%はロシアで採掘されていることをアメリカは知らないわけじゃないだろう。でも、「遠い地域のことだから」知ったこっちゃないのか?

 中国がロシアと相談し、NATOに対抗するために作った上海協力機構がそろそろ腰を上げる頃かも知れない。今までも機会はあったが習近平が渋った。ドルが世界の基軸通貨でなくなる日はもうカウントダウンの段階を迎えているが習はそのときに元をどうするかより、まずは内需主導型の経済スタイルを作りたい。(習の、「すべては市場が決定する」という公式発言をどうして誰も重視しないのか、それも理解に苦しむ。中国は、きょうさん糖いっとう独裁の国家でありながらしゃかいしゅ義でもきょうさん主ぎでもない、かなり新しい国家だということだ。)

 本当にアメリカがロシアに経済制裁を行うなら(するだろうと私は思う)それはアメリカ自身のためにはならない。QEを続けようがやめようがドルは失墜の速度を加速させる。今だってロシアは(世界は)ドルを見捨てようとしている。アメリカにとって恐ろしいのはイランとロシアが結託してエネルギー配分のパラダイム再編を行うことだろうが、失敗に失敗を重ねたアメリカは、すでに中東でのプレゼンスを回復させることはできない。今までのように軍事費を垂れ流すことはできないし、するべきでもないとアメリカ国民が、世界中が、知っている。世界の警察を自認してきたアメリカだが、極東のたった一国をのぞき認識は「世界の迷惑」という方向で固まりつつある。

 アメリカは、プーチンには勝てない。ロシアと中国が敵だという前提でウクライナ介入のシナリオが(菅の「住民投票無効」発言が)書かれたのだとしたらもちろん違う。それでは上海協力機構発足の説明がつかない。たしかに中国はロシアとも国境問題を抱えているが、一方では戦闘機や空母(実用性に疑問を感じるが)を融通し合う仲だ。アメリカがウクライナの新政権への肩入れを強め軍事的に緊張したら(世界の誰もそんなこと望まないが)ロシア、中国、イランが急接近してアメリカに対抗しようとするかも知れない。表面的にはアメリカを支持しているように見えるドイツだが、天然ガスも石油も、自国の産業と国民生活を支えるエネルギーは40%ちかくがロシア由来だ。いつまでもアメリカに追随はできないし、そもそもどっかの国と違って自立している。

 アメリカはウクライナ問題でプーチンには勝てない。それがわかっていて、菅はクリミアの住民投票を無効呼ばわりした。静観するべきだったのだ。この発言は歴史に残るだろう。はじめから負けるとわかっていてそっちについた愚かな発言だ。発言せざるを得ない力関係があった、そんなことはわかっている。でも、それでも、愚かだ。「言え」と言われておとなしくただ言うなら、外交とはなんなのか。どうやって国民の利益を守るのか。

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