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2014年2月12日 (水)

新疆の青年は長江のほとりで羊肉を焼き

Wigle  長江のほとりで羊肉を炭で焼き、12元で売っていた新疆の青年の顔が忘れられません。

 それが通常の表情なのでしょうけど、何かを深く考え込んでいるように見える、その顔が印象深いです。引率の大学生に「一緒に写真を撮っていいかとこの日本人が聞いている」と通訳してもらったのですが、彼の返事は「ハオ」でありました。仕方なさそうに笑いながら。

 私が注文するたったの2本を焼くのにさかんにうちわを使う彼のそばに立ち、写真を撮りました。私がそばにいるからでしょうか、かなりの男前であります。もみ上げが長いのも特徴的です。串についた羊肉はそれほどの量でなく、その気になったら20本ぐらいは食べられそうです。引率の大学生は武漢滞在中は私たちの健康に責任があると思ってくれるらしく、ほおばる私を心配そうに見ています。ブラックペパーをたくさん振りかけた味であります。

 新疆の青年が屋台のそばに置いているラジカセから、マイナーともメジャーとも判断できない、不思議なメロディーが波打っています。インドのどこかで聴いた曲に似ているようで、あるいは別のどこかで聴いたものを私が勘違いしているだけのようで。いずれにしても忘れられない、高く上がっては下がる、また上がる、男の歌声であります。

 道路に設置されているゴミ箱まで串を捨てに行きましたが、すでに100本ほどは捨てられてありました。新疆の青年は200元は稼いだわけだ。よかった、よかった。

 さて。旅行中は気をつけているはずなのですが。

 失敗してしまいました。

 武漢大学の近くの郵便局から日本とオーストラリアにハガキを出し(どこの国あてでもハガキは45角)、銀行で3000元を下ろしたのですが、うっかりそれを全部財布の中に入れていたのであります。今から思えば、現金はすぐにカバンの奥深く、見えないところに袋に入れてしまわないといけない。「あとでやろう」なんて思わないで、銀行でおろしたらすぐその場で、やるべきなのです。

 コーヒー屋さんでサンドイッチとアメリカンを注文した際、私がサイフを取り出すのを、窓の外から誰かが見ていたらしい。とはいっても、100元札がたったの30枚です。

 コーヒーを飲んでいるとおじさんがいきなり店内に入ってきて、私の顔や頭を触りながら「お金をよこせ」。

 大学生が「この人は外国人で中国語わからない」と言いながら1元硬貨をあげたのですが、おじさんはそれをポケットにしまいながらもなおも私の顔をなでて「金をよこせ」

 年齢は私よりずっと下、健康なのだから炭をおこして長江のほとりで羊肉を焼けよ、と私は思いながら、金はあくまであげないことにしました。うるさいからと10元ほどをあげると、きりがないにちがいない。女子大生は必死で私をかばってくれましたが結局最後はコーヒー屋さんのおばさんがふたりがかりで店の外に追い出してくれました。一人は私を守るように私の前に立ちはだかって。

 全く申し訳ない。窓の外から誰かが見ているかもしれないと思うなら金が入っている財布なんか取り出しちゃいけないのです。

 この日の観光の最後、ホテル前で引率の大学生は「初めてでした。おじさんのことで先生に不愉快な思いをさせました。申し訳ありません」と丁寧に頭を下げました。とんでもない、失敗をしたのは私だ、と言いました。

 そうです、失敗をしたのは私であります。どこかに(というか行動のすべてに)安全な日本のクセがしみついているのであります。大学生にも、コーヒー屋さんのおばさんにも、悪いことをしました。

 観光をしたのは武漢大学とその周辺、武漢美術館。美術館に展示されていた三峡ダムの建設現場、三峡ダムができるために立ち退かないといけない人々の生地を惜しむ表情、文化大革命の頃の人々の表情の記録、その写真が印象に残りました。中国の若い芸術家の作品も既存の表現の枠を突き抜けていて印象に残りました。どう見ても写真にしか見えない細密画を描く芸術家の、細かい細かいこだわり(小さなしみやそばかす)に迫力を感じました。

 それにしてもどこまでも献身的な2人の大学生には、どう言って感謝していいか、わからないのであります。

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