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2014年1月31日 (金)

短期間で金持ちになった人は本当に不幸

 本日は131日、金曜日。中国のお正月。

 昨日の午前中から絶え間なく鳴る爆竹を聞きながら、もちろん中国語のトレーニングは中止なので自習。

 ところで私たちは、質実剛健なチョンハイ孔子学校の校長、王先生との食事ではあまりお酒をいただかず、食後はきちんと昼間の授業の復習を。んで息抜きの散歩の途中で、「順発酒店」というところでビールを1本ずついただくことにしておりました。歩いて30分ほどの距離にあるし、そこは別の村なので大丈夫だろうと思ったのですが、そこは中国。私たちが散歩と称し実は息抜きの酒宴を(といってもつまみは「あって」袋入りのピーナツですけど)真昼間に行っていることはとうの昔にばれていることがわかりました。

 時折王校長先生をたずねる料理人、豊先生は地元の名士。3つの小学校の食堂の料理長を勤める、有名人。このかたが順発酒店の店主と友達らしく、「最近、チョンハイ孔子学校の生徒が夫婦でビールのみに来るね」という会話がなされたらしい。もちろん悪意はなく、「友達の店だからよく行ってやってほしい」という風に言われたのですが、うううう~む、あらためてここは中国の農村だぞと。

 考えれば、日本だって昔はそういう一種の対人情報はあっというまに広まったのかもしれない。もちろん王校長先生もそんなこととがめるわけもなく、「散歩に出かけます」というと、「なるべく遠くまでね。いろいろなもの見てきてね」と、おっしゃるのでした。

 たまに1人で散歩していると、見ず知らずのおばちゃんが、「今日はアイレン(配偶者のこと)はどうしたの?」と質問します。人と人との結びつきはごくごく緊密なのだ。

 ところで海南島に帰省してきたこの島出身の、現在は日本在住の、若い女性と会いました。

 東京の、名前を聞けば誰でも(日本人なら必ず誰でも)知っている企業に勤める、超のつくエリートです。彼女が採用された時の募集人数は数名だったはずだけど、たぶん3000通ぐらいのエントリーシートは届いたと思う。それほどの会社です。

 顧客は4割が欧米人、続いて日本の金持ち、残り何割かが世界各国の富裕層らしいのですが、どうも話を聞いていると日本の金持というのは時々「ヘン」です。

 彼女は日本人より完璧なイントネーションの日本語を話すのですが、それでも語彙とかでふと「日本人じゃない」とばれる瞬間があるそうです。すると、何も問題なんて起きてないのに、「これほどの企業なのに中国人を採用するのか」と、怒り出す人がいるそうです。彼女はもちろん中国人の顧客に対応するために雇われているのですが、手の空いているときは日本人のクライアントに会うことは何の問題もない。でも怒る日本人がいる。

 理由なく怒るのであります。

 そこに飾ってある花が気に入って、「家にもって帰るけどいいかしら?」それにオーケーすると、「タクシーまで運べ」と言い出す。言っておきますけどその会社の顧客はかならず、国内外を問わず、金満家であります。で、さすがに多忙なさなかタクシーまで運べないと断ると、やっぱり怒鳴り出す。

 業種の関係で、この会社は24時間、社員を常駐させています。すると、よくよく名を知られた芸能人が真夜中に電話をかけてきて、「今、ロンドンは何時?」と聞くそうです。

 私だったら、「よう客人、今何時だと思ってんだよ、時計の表示を見てみろよ、そっから9を引けばロンドンの時間だって、小学生でも知ってる常識だろうが、この田舎者が」というところだ。でもさすが名門企業、きちんと「……様、ロンドンは今☆時でございます」と返答する。ところが、ちゃんと答えてるのに、怒り出すそうです。「なにその上から目線な言い方。今からそこへ行ってあんたと喧嘩するから」と、実際にそう言ったそうです。このタレントの名前を知りたかったら、私に直接メール頂戴ね。

 ほかにも、「家まで来て私んちの☆☆してくれない? それも定期的にね」と、考えられない要求があるそうです。んでもちろん、断ると怒り出す。

 「欧米のクライアントは本当に紳士なのですけど」と、彼女は言います。

 私は、「日本人は金持ちになって未だわずかな時間しかたたないので、どうやってプライドを維持していいかわからないのでしょうかねぇ」と、自分の考えを述べました。

 たぶん、そういうクライアントには、「この企業のために年間何百万かのお金を使ってるんだ」という意識があるのでしょう。もちろんそのお金は応分の利益を自分に約束しているはずなのだけど、そんなことには気がつかず、とにかく金を持っている、それを使っている自分がえらいと思う。無理な注文をして相手が平伏するときだけ、自分のステイタスが自分自身に『見える』。金持ち、貧乏、ってしょせんは他人との『差』にしか過ぎないわけだから、昨日今日金持ちになった人間は不安で不安で仕様がない。「あなたは偉い」と他人から言ってもらわない限り、自分の価値を自分で量れない。

 「つまりは貧しいということでしょう、でも急速に日本の事情はよくなると思いますよ」と私は彼女に言いましたが、本物の貧乏人がそんなことを言っても彼女の納得に結びつくわけがない、と反省しました。

 反省して散歩に出かけ、順発酒店で4元(68円)のビールをラッパのみ。

 良かったぁ、偉い人じゃなくて。金持ちじゃなくて。短期間の間に金持ちになった人は、本当に不幸ですね。あ、負け惜しみに聞こえた?

Photo_2 

 「おやじさーん、ビールもうヒト瓶ちょうだい!」

 ……ん、冷えてねぇのか。まぁしょうないか。68円だし。

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