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2013年12月10日 (火)

中国の若い作家が好き…私は翻訳家(笑)

 「今、孫ルイさんの小説『僕はあなたの子どもだ』を訳しているんだ、日本に帰ったら著作権の問題もあるけどなんとかこの人の小説を一人でも多くの日本人に読ませたい」というと、「あ、その人の小説、読んだことあります」と顔を輝かせる人もいれば、「ええ~孫ルイですかぁ」と眉をひそめる人もいます。眉をひそめるのは、高中時代、先生の言うことを良く聞き守り、年長者の伝達は絶対だと思ってきた素直で調和的なひとなのだろうと思います。

 でも110ページあるこの小説をたったの8ページ日本語訳してみて、早くもその『毒』に、私は魅了されています。冒頭、子どもが生まれてたったの3ヶ月で離婚する北京(たぶん)の夫婦がでてきますが、20歳をちょとすぎたばかりの若い妻、彩雲が子どもを生むとすぐに駆けつけてくる『地区の主任』が印象的です。「子どもが生まれたんだってね。おめでとう。双子じゃなかったわね、よかった! 次の子どもが生まれないように避妊手術はもう、した? してくれたのね! ありがとう、あなたは自分のことより規則を優先させるすばらしい女性だわ!」とまくしたてるこの50台の女性主任は、言うまでもなくこの中国の『何か』を象徴していて、あからさまにそれを描いてしまう若い作家の、その反抗精神が、まじめな、国家の方針に従って若者を導かないといけないと考える高中の年配の先生方から嫌われる理由なのでしょう。

 高中の先生方から嫌われる若い作家は他にもいます。レーサーで同時に小説家でもあるという韓寒は、若者に「学校なんか行くな、人生の損失だ」と呼びかけ、実際に自分も大学へは行きませんでした。(と、生徒から教えられました)その小説もまた、中国の政治姿勢への反抗精神に満ちています。大変なイケメン(古い言葉だねどうも)で小説コミュニティ雑誌の主宰者でもある郭敬明も、年配の先生方からは愛されません。

 今、文化大革命が再燃したら(絶対にそんな光景は見たくないけど)これらの若い作家がどんな目にあうか、時に恐ろしい想像が私の脳中を舞います。(どういうブンガク表現だよ)

 さて…あと100ページ、訳は完成するのでしょうか?

 完成したとして、どこかに読んでくれる人っているのでしょうか?

 「ニイハオ」の「ニイ」の字も知らないで中国に来て、1年後に『翻訳家』になるとは思わなかった。わははは。

 でも……。

 若者は中国でも日本でも、オジンが「読むな」という本をこそ、手に取るべきなのであります。

 オジンの権益を守るために書かれた小説などにどんな意味があるというんだよ。

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