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2013年12月19日 (木)

中国の脅威は「若者」だ、空母や戦闘機ではない

 前期の成績を出すシーズンが来ました。私はこの日に備え、8月下旬から絶え間なくプリント類や口説問題を要求、点数化してパソコンに打ち込んできました。最終的に成績を出すときに材料が多ければ多いほど、楽だからです。もう少し言えば、一つ一つのプリントを作るのも、採点するのも、ともども楽しかったからです。

 しかし、最後はやっぱり考査であります。

 3年生には会話の創作を要求しました。2人一組で「創り、演じる」のです。シチュエーションは今年着任のI川先生が考案してくれたもので、

 1、結婚式のお祝い品を選ぶ相談、

 2、海外旅行のお土産を手渡しながら旅先の報告をする、

 3、新年会の余興の相談、

 4、洋服店で発見した素敵なジャケット2つの、どっちかを選ぶ。

 試験当日までに4つを創作し完全に記憶する。自分たちの順番が廻ってきたらクジを引き、1つを選んで実演、130秒以上2分以内、それに満たない場合はやり直し、という決まりです。

 正直、かなり過酷だと思いましたが、全ペア、ものすごい集中で試験に備えました。やったことがない試験方式だったので、半数のペアは記憶しきれないで途中で紙を見るくらいはするだろう、とか予想したのですが、彼らは自信満々で試験場に現れると、すばらしい演技力で言葉の強弱や「間」を効果的に使い、準備したとおりの内容をあやまたず再現してみせました。

 かなり意外でした。この出題に20点を配当したのですがどのペアもすばらしい出来で、むしろ差をつけられないで困りました。4つものシチュエーションを全部覚えるは大変です。3つは無駄になるわけです。クラス担任の先生に聞くと、ご飯を食べながらも練習し、休み時間もずっと練習しっぱなしで、大変な集中だったということでした。中国の大学は全寮制をとっていますが、寮の寝室でもずっと練習していたはずです。

 そこで私が考えたこととは。

 どこの馬の骨とも知れない日本人外教が課した試験でこれだけがんばるのだから、他の教科ではきっともっとがんばっていることだろう。英語や現代社会に関係する作文授業なんかだと、日本語の授業より何倍もの宿題が出る。この間、一緒に食事をした2年生がすぐに食堂から帰ろうとするので「急ぐの?」と聞くと、「これから4000字の作文を書かないといけません」という返答でした。日本語で4000字なら原稿用紙にしてたったの10枚ですが、中国の1字は日本語より情報量が多い。「夜中までかかるね」というと彼は「徹夜かも」。

 思わず、何人かの日本人大学生の顔を思い浮かべ、「私の祖国は、本当に大丈夫なのか」と思いました。

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