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2013年11月18日 (月)

お互いを嫌って、相手が滅びることを願って何の得があるのか

 早朝の気温がマイナス10度~13度ほど、日中の最高気温もマイナスのまま推移する、というハルピンの冬となりましたが、去年の同じ時期に比べるとよほどましです。アパート内の暖房設備に改善でもあったのかスチーム温度も去年よりずいぶん高い。基本、室内では半そでです。

 外出着は、去年に懲りてすっかり冬仕様で固めたので、戸外へ出て長い間歩いたりしなければへいちゃらです。冬道のバスのノロノロ運転は悩みの種でしたが、今年の冬は地下鉄という強い味方があります。日本人の先生も、生活上のことであまり悩みを口にしません。

 でも、これからのことはわかりません。とつぜん暖房温度が去年並みになるかもしれない、去年知る限りの最低気温は32度でしたがこれが更新されるような気象の変化が訪れるかもしれない。人間のやることとなるともっとはるかに散文的です。「急に何かが予告なく、理由も告げられないまま変わる」というのは中国的日常です。

 生徒は本当にひたむきでまじめです。軍事教練が終わって授業がはじまった916日、まだまだ中高生気分が抜けないままだった彼らですが、班長(学級委員長)、学習委員長がクラスに向けてどういう呼びかけを行ったものか、次第によい集中を見せるようになりました。「おい金さん、眠そうな顔をしてるけど大丈夫か?」と聞くと、ノートと教科書を持って一番前に来て、私のすぐ前でノートを取ります。期末試験まであと1ヶ月ちょっと、という時期になったからだけではないように思います。構文が理解され始め、大意なら通訳さんを解さないでもわかるようになったからでしょう。

 あらためて、日本と中国との関係の改善が望まれてなりません。今、彼らが勉強している日本語が、将来どのように役に立つのか、それに、わずかでも、明るい展望が見えたほうが私としても嬉しい。父親が洋服の輸入販売業を営み、日本とヨーローパからいつも商品を仕入れる、会社には日本人がたくさんいて家には畳が敷いてある、という王くんのような生徒は将来必ず日本語を使うわけですからあまり悩む必要がない、でも他のすべての学生にとっては、今の自分の勉強が将来どう役に立つのか、立たないのかということは大問題であります。毎年、58名が日本へ留学しますが、どの親にもそういう経済力があるわけではない。入学時に「大学での自分の専門は日本語」と自覚したすべての生徒が「将来は日本語を使う仕事を」と希望しますが、私の知る限り、通訳を生業とすることに成功したのは一人、たったの一人であります。入学以来ずっとトップをとり、日本語科のトップではなく外国語学部のトップであり続けた周という女子学生、たった一人であります。彼女はこの大学からも自分の出身地からもはるかに遠い広州で現在たいへんな高給をとっていますが、初めて会ったとき私には彼女が中国人だとは信じられなかった。日本語で冗談が言え日本語で考えることができ三島由紀夫や徳富蘆花をもちろん日本語ですらすら読めてしまう、そんな彼女にして、ようやくその職をゲットできたのだけど、もちろん他のほとんどの生徒はそのような仕事はあきらめることになる、でも日中の関係が今より好転するなら、彼女みたいなとんでもない才能の持ち主でなくても職探しは少しは楽になるかもしれない。

 私は、一人の日本人として、尖閣列島は日本の帰属になることを信じてやみません、しかし、この問題に火をつけ、決定的に両国の感情的対立を現出させたのは1万キロ東にある軍事行動の大好きな某巨国であろうと思っています。日本と中国のそれぞれの国民がお互いを嫌いあって何の得があるのか。お互いに相手が滅びるのを願って何の得があるのか。ないのであります、仲良く交流したほうが心情的にも実質的にも(経済的にも)良いに決まっている。嫌って特になることは、絶対にない。それぞれ自分の内部を見つめてみれば矛盾はある。ないわけがない。国家が近代化を果たすのに矛盾をかかえなかった国などない。ウィグルを、チベットの問題を、私たちは相手の重大な過ちであるように言うことが可能だ、でも200年前のシャクシャインの反乱の時、インターネットという公平で民主的なメディアがもしあったなら、世界は日本のことをどう言ったことだろう、と私は考える。

 雪が降っております、寒気団が古い大気を押しのけたせいか、あるいは雪が汚染物質を吸着しているせいか、大気が目で見てわかるほど清浄になりました。誰かがふざけて雪だるまを作りました。すると通りがかりの学生が次々、帽子をかぶせる、タバコをくわえさせる、スプレーで色をつける……。

 若者が無邪気なのは、愉快なことを好むのは、ここでも変わりません。

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