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2013年11月12日 (火)

なぜある種の教員はこころを病むのか、という問いの「野暮」

 なぜ、ある先生は心を病むのか。

 そのようなネット上のコラムを見ました。思ったとおり、多忙や親の意識の変化、生徒自身の変化、中間管理職の横暴で理不尽な命令、などが挙げられるわけですけど、そんなの今に始まったことじゃない、と思いました。修学旅行中にタバコを吸い途中で帰した生徒(でも生徒の家の直近の駅まで教師が付き添った)の親が迎えに出た駅のホームでポケットに手を突っ込んだまま「出発するときに所持品検査をきちんとやってくれたらこんなことにはならなかったんですよ」と食って掛かったのはもう30年も前だぜ。

 30年前からモンスタークレーマーはちゃんといたのだ。

 多忙? 多忙のために心を病む人はいません。自らの「多忙」に意味がないことを自覚する時、人は本当に疲弊するのであります。「中、お前もと教師だろ、なんで現役中にそゆこと言わネェんだよ」と言われても私は卑怯を生きている人間なので平気であります。平気で言うのですけど、PTAなんて組織いりません。部活動だっていりません。高校野球や春高バレーといった国民的行事はどうするということになりますがそんなの日本の商業主義が高校の活動に「のっかった」だけで、実は大迷惑であります。この部活動が教員の「本務じゃない」ことは文部省も認めております。なんとなくずっとやってきたからこれからもやるのです。週に17時間授業はしろ、そのために教案もちゃんと書いて年度始めに教務部長に提出しろ、PTAの担当として年に3通の「たより」は発行しろ、そのために「役員」との会合(飲み会)にはちゃんと出席しろ、その上で土曜日も日曜日も体育館でネット横でトスを上げろ、試合の時には付き添えちなみに生徒帯同にマイカーを使うことは許さないって、どこからどこまで無理で不合理な「多忙」なのだけどその11つに「意味がない」から疲弊するのであります。

 意味のある多忙なら人間はこころを病みません。

 書類作りというともっと傑作です。教員というのは学校を離れて何かする、つまり家庭訪問とか求人開拓とか生徒のアルバイト先調査とかPTAだよりの原稿入稿とかいうといちいち書類を書くのですがこの書類がおかしい。ポイントは10.5と決まっています。1行あたりの字数も決まっています。何行目に表題を書きその表題は何ポイントにするか何行目にあて先の学校長名を書くか自分の名前を書いたらその後に何マスの空白を作るか、みんな決まっております。中には定規を当てて規定どおりの空白かどうか計る教頭までいます。これだけ意味のないことで教員を「多忙」にしておいて「なんで心を病むのか」首をかしげるのが野暮というものでございましょう。

 私はそれらすべてを「馬鹿だ」と思い、教案書くのも「馬鹿だ」と思い、教諭の書類を点検するのに血道をあげる教頭を「馬鹿だ」と思い、PTAの担当は実は長かったけどこれも「不要で馬鹿だ」と思うから、楽しく教員生活をやることができました。命を掛けて「まじめに」やったら60歳の定年までとてももたない。

 そしていつもいつも言うことですけど、教員というのは教員免許でも採用の事実でも単位の取得でもなんでもありません。知的権威だと思っている人間は絶対に定年までまっとうできません。教員というのは、単純に生徒との「関係性」であります。生徒とそこにいるワタクシとの「関係」が教員というものの呼び名であります。だから、「おいおい、授業中にタバコすうなよ」と言って生徒から「あ? おめ誰よ」と言われたらその人は教員じゃない。ちなみに私は上記のような会話があるとき(ありそうな時)必ず殴っておりました。それも力をこめ、生徒の言葉の暴力に見合うだけの暴力でもって、殴りました。学校教育法? 体罰禁止? 知らないそんなの。

 そのようなことを言うと、「現役中にそういうことを言わないあなたは卑怯だ」と言われたことがある。

 卑怯で結構、大結構。こういうことを「言って」教務部長や教頭と「事を構える」のがすでに不毛だ。だから私は思うだけで言わなかった。卑怯だから60歳まで病まなかったのであります。

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