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2013年11月13日 (水)

日本の16歳には親の世代より「豊か」な暮らしは本当にできないのか

 北海道砂川市の書店さんがネット上にお書きの記事を拝見しました。

 高文連のある分科会で高校生を相手に話をした際のこと。

 「将来、君らは、親の世代より豊かな暮らしをしていると思うか?」という問いかけに対し、挙手をした人はゼロだったそうです。

 そうかもしれないな、と思うと同時に、一人でもいいから手を上げてほしかった、という気持ちもあります。

 自分が親の世代になったとき、現在の親より経済的に豊かな生活ができているとは思えない、というのはある意味、冷静な判断かもしれない。その通りかも知れないです。「豊か」を「金銭」と解釈するなら特にそうでしょう。

 1960年代から70年代、あのような経済的熱狂はもう戻ってこないでしょう。それは私にもわかります。そのあと円は200円を切り、なおもどんどん上がり(ということは単純に信用度を増し)、80年代の終わりにあのゴルバチョフが「20世紀、もっとも成功を収めた国家は日本だ」と発言して、そしてなぜだかそこが、「熱狂」の終焉となりました。空間コーディネーターとかイベントプロモーターとかカタカナ職業がもてはやされ高給をとり、ちょっときれいだというだけの若い女の子が短時間不動産屋さんの事務所に顔を出すだけで5万、10万のお金を手にすることができて、それらの女の子自身が「わけわからない」と言いつつ、ファッション店やそこそこの金を取るレストランに出かけてそのお金を還流させるという時代は、ゴルバチョフ発言とともに終わったのです。

 今なお、20歳そこそこのわが子にフェアレディを買い与える財力を持つ「親」はいっぱいいて、安倍が「孫に投資するなら1000万までは税制を何とか考えよう」というようなプランを語ると「じゃぁここにあるこの1千万をどうにかするか」と考える恐ろしい余裕のある「親」もたくさんいるわけですが(私の周辺にいないだけ)そういう「親」にはもうなれない、と16歳の若者が考えるとするとごく自然なような気がします。

 でも。

 それは本当に「豊か」なのか、私には疑問であります。さして能力も運もないオジンが意味不明に金を持ち、新大久保のガード下で小遣いをほしい高校生をハント(?)して喫茶店で話をし、たぶん娘にはできない説教をして、別れ際に3万とか5万とかいう金を渡してしょうもない紙切れのようなプライドを「買う」、そんな時代は「豊か」だったのか。むしろ、1990年のあたりを限りとして終わってよかったのではないか。

 人口は減ります、若年労働者は不足します、国内に資源がないということは製造立国でないといけないのにホンダがタイでスズキが中国でカワサキがマレーシアでバイクの組み立てを行うような「安くさえできれば」という時代ははっきりと終わり(それらの国の労働単価が上がるから……当たり前だ)、生産拠点が国内に戻る、その時には決定的に「あなたという個人」の価値は上がっている。

 なんで「今より不幸」なんだ。

 引き続き資源は国内にはないから「市場価格で」買わざるを得ないけどそのための「外交」がどんなに低姿勢でもそれは逆に言えば自信の表れだった、その誇り高い70年代が(成長をパーセンテージで見ると同じ時代とはとても言えないが)形を変えて戻ってくるのだと考えるのは間違いなのだろうか。

 矛盾はもちろんあるだろう、矛盾のない近代国家などない、だがその矛盾は、ものすごく乱暴に言うと(でも間違いではないと思う)日本と中国の金で絶え間なく戦争を続け結果的に疲弊の極に達して文字通り市井の人が「飢餓」に瀕しているアメリカのような矛盾じゃない。

 ここにきて、他国に一発の銃弾も放つことなく、ソヴィエトの大統領が手放しで礼賛するような繁栄を勝ち得たこの国の歴史が意味を持つのだ、と私は考える。国を焼け野原にされて原爆まで2つ落とされてそれでもどの国も恨まず一心に働いて「20世紀最高の成功」を収めた祖父母の、僕らは直接の孫ではないか。それを誇らないでどうする、跳ね返せない逆境などない、と思えないでどうする。

 16歳の若者が同じ年齢の子供を持つとき、たしかに「おぉフェアレディが欲しいのか、買ってやるぞ」とは、言えないだろう、でも、それ(親が買うスポーツカー)が「幸福」だと思う人はきっといなくなっているから、大丈夫だ。

 でも……国中をガラクタ(原発をはじめとする)で埋め尽くした「矛盾」は、たしかに謝らないといけないですね。この処理、若い人がするんですもんね。

 なんか……なんというか……すんません。

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