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2013年10月22日 (火)

日本の、何かを好きになって下さい

 さすがに、授業が「助詞・助動詞」に入ると、教室のムードが重苦しくなってきました。

 無理もありません、いくら日本語に興味があったとしても、

 「あなたの役割は何ですか?」「私【は】班長です。」

 「このクラスの代表者は誰ですか?」「私【が】班長です。」

 そんな区別を延々と説明されたら誰だって嫌になります。

 「日本の何かを好きになって下さい」と言いました。「富士山でも桜でもアニメでも映画でもドラマでも小栗俊でも着物でもオタク文化でも三丁目の夕日でも何でもいいです、日本の何かを好きになって下さい。そうすると、少しでも今の日本語の勉強が辛くなくなります、日本の何にも興味を持てないで日本語の勉強を続けることほど辛いことはありません。」

 すると予想の通り、一本の手が挙がりました。

 「先生、先生も毎週水曜日、4年生の趙さんから中国語を習ってるんですけど、中国の何かに興味を持っているんですか?」

 すばらしい質問だ、と私は彼の横に立ち、その右の手を堅く握りしめました。

 「中国で一番魅力的なのはまず人だ、去年の9月から10月、中日関係が最悪の時、生徒は私を励ますためのパーティーを開いてくれたし、市場の野菜屋のおばちゃんは「私は日本を嫌いじゃないよ」と言ってくれた。親切で元気が良くて好奇心が旺盛で正直で人情に厚いのが中国の人だ。2番目は中国の小説だ。中国には名前を知られていない中・長編の名手がいっぱいいることがわかった。3番目は何と言っても、中国の映画だ。」

 そして、最近見た映画『Postman in paradise』の説明をしました。

 山岳地帯を勤務場所とする郵便配達夫。忠実で力の強い中年の名馬、金龍号とともに、電気ももちろん上下水道もないような村から村へとめぐってゆく。行く先々で彼は歓待されるが仕事そのものは過酷だ。コミカルで笑えるシーンもあるが、一通の手紙が届いたことで村の結婚式が中止になってしまうという謎のようなシーンもある。中国語がわからないのでなんでかはわからない。そして最後には、とてもとても悲しい結末が待っている。

 「すごい名作だけど、日本人は誰もしらない。これを、日本に帰ってできるだけたくさんの人に紹介する。そう思うと、中国語の勉強を何とか続けることができる。」

 なるほど、と生徒はうなずいてくれました。もちろん、通訳さんがうまいのです。

 「誰か、この映画を見たことのある人!」と問いかけました。

 残念ながら、中国人はあまり中国の映画を見ず、(チェン・カイコーやチャン・イーモウみたいな超有名監督のは別)中国の小説だってあまり読まないのです。アメリカ映画や村上春樹さんは大変な人気ですけど。

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