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2013年10月17日 (木)

中国人も見るドラマ「鴨京都へ行く」の魅力……脚本と演技がすばらしい

 ここ数日、あんまり面白すぎて、仕事も何も手に着かない、くり返しくり返し観てしまうドラマというのが存在します。日本ではいつ放送されたのでしょうか、フジテレビの「鴨、京都へ行く」であります。

 私は家にはテレビを置かない主義でありましたので、面白い番組があると免疫がなく、「観入って」しまうのであります。しかもこのドラマに関しては1話から11話まで観終わると、すぐまた1話に戻って観てしまう。

 38年暮らした京都の町の光景が、ドラマ中いっぱい出てきます。そこに立っていると舞妓さんは無理でも芸妓さんになら10分に1人は出会えるだろうという祇園甲部にある辰巳神社、西から東つまり東山方向を見るとたいへんに絵になる有名な高台寺の八坂五重塔前参道、昔、桂米朝一門が一門会を開いた安井の金比羅さん、そういえば鹿の子さんというすき焼きやさんがあった、「とんちんかん」という奇妙な名前の豚料理屋さんがあった、今も営業中だろうかと、どんどんと空想が膨らむのであります。京都は、変わらないところは徹底的に変わらない。

 でも、京都生まれの京都育ちでなくても、もちろんこのドラマは面白いでしょう。

 スクリプトがすばらしい。物語に、ちゃんとしたにんげんの哲学があります。東京大学文科一類を卒業し霞ヶ関で6年間を送った女性財務官僚が母の死後、ふるさと京都の老舗旅館を嗣ぐというただそれだけのお話しなのですけど、全編に無理がなく、「なるほど」とうなってしまうのであります。

 老舗旅館の従業員は亡くなった女将を心から愛しており、あとをついだ若女将に対する反発は並でない。またその主人公である若女将、もと財務官僚も強気一点張りの強引な人物でこりゃ嫌われても仕方ないと思う。何しろ彼女は他人に「頭を下げたことがない」のだ。しかし、板長、仲居頭、仲居のナンバー2、その順番で若女将を認め、心を通わせるようになる。その変化にも、無理がないのであります。とにかく、スクリプターはすばらしいです。

 それまで頭を誰にも下げなかった若女将は、どうしようもない窮地にいたり、四方に頭を下げることになります。それを見ていた従業員の1人が、「本当のプライドがないと誰かに頭を下げるなんてことはできない」という意味の発言をします。

 若女将の敵なのか味方なのか(つまり老舗旅館を手に入れることが目的なのか、純粋に経営の手伝いをしたいのか)11話完結編まで見ても結局わからない椎名桔平の演技はすばらしい。最初から東京帰りの財務官僚を嫌い抜き、若女将の美貌と若さに嫉妬し続ける女将組合組合長の若村麻由美の演技にもすごみがある。結局彼女は大嫌いな若女将のことを、何度も「助ける」ことになってしまう。その皮肉な展開にも無理がない。テレビ界を信じてなんかいなかったけど、すごい脚本家がいるんだなと思いました。

 日本に帰ったらDVDボックス買おっと。

 あ、この映画は、私の配偶者様が授業する別な大学の生徒さんが教えてくれたのです。だから、中国でも大変な人気だということです。

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