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2013年9月18日 (水)

貧乏な日本語教師、ハルピンでストラデイバリウスを買う(?)

 3日間の休みの始まる直前の水曜日であります。生徒は非常にうきうきしております。当たり前だ、突然家族から離れ寮生活を始めた彼らが最初の帰省をする、それが明日(早い生徒なら今晩)であります。浮き立たないわけがない。通訳さんを通じ、「先生中秋節は何をしますか、どこへ行きますか」という質問を受けます。まぁ適当に答えるわけですけど、彼らは要するに私の同行を知りたいわけじゃなくて、「僕らは楽しみますよ」と言っているのであります。父にハルピンの土産を渡し(タバコとかキクラゲとかウィンナー)母の手料理を食べ、同じく帰省した中高時代の友達に会うのであります。

 私が授業するクラス26人の中でたった1人、帰省しないのがおります、遼寧省阜新市から来ている女子。たずねると「何も予定はありません。寮でゴロゴロです」ということでありました。寮でゴロゴロと言っても、8人部屋が突然、1人部屋になるのであります。そりゃ寂しいってば。

 私は彼女と私の奥さんと3人で、近くの食堂でご飯でも食べるか、と考えました。きっと通訳さんが「そういうことなら私も行きます」というだろう。ちなみに通訳さんが帰省しないのは卒業論文を書かないといけない4年生であるからです。彼女の日本語力はとても立派であります。もちろんとうの昔に1級は合格済み。

 1年生の、寮残留者に話は戻りますが、彼女の家は高速鉄道でハルピンから南へ3時間、瀋陽で下りて在来線でたった100キロ、西へ行ったところにあるのでありますから、帰省しようと思えばできないことはない。現にもっと遠い生徒でもいくらでも帰省します。こういう、近いのに帰省しない生徒の事情は本当に様々。両親が出稼ぎで家に帰っても誰もいないとか、帰省のためにと送ってきたお金を冬物衣類のために使ったとか、そういうことであります。

 浮き立つ教室でたった1人、「あぁ~あ」という表情でいた彼女が、忘れられません。

 私は……。

 中央大街の近くの楽器屋さん、馬林(どういうネーミングだよ)からメールが入りました。「手工芸品のバイオリンが入ったよ。全くの手作りで有名な作者だよ。あなたなら安くするよ。一度見に来ないか」という。20日に見に行く、と返信しました。馬林さんの返事は、「もちろん量産品の安いのもある。見てから決めたらいい」というのでありました。

 まったくの手作り? 私なら安くする?

 その作者というのが、もしかしたら1700年代前半にイタリアで生まれた、伝説のバイオリン造りだったら……。「あなたなら安くするよ」んん~ん。

 20日に私はどんなバイオリンと出会うのか!

 VISAMASTERのカードを握りしめて、中央大街に向かうのであります。

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