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2013年7月 4日 (木)

雨のハルピンで「近代化」について考える

 ハルピン、雨ばっかし。

 水はけの悪い学府路に、いっぱいできた水たまり。それを掻き分けて走るバス。

 大きな荷物を持ってバス停へ歩いてこようという人がいます。水たまりは場所によっては膝近くまでの深さであり、ズボンはまくり上げられていますが、それでも当然、ずぶ濡れ。

 両手に大きな荷物を持ち、傘も差せない人がいます。彼はたぶん商店の経営者で、仕入れの商品を問屋から自分の店まで異動させている最中なのでしょう。

 そういえばハルピンという町にはずいぶん露天が多いけど、これだけ毎日雨が降るとなると、その人たちはどうするのだろうと、考えました。駅か服装城前の地下道かどっかの雨のかからないところで、ひしめき合って営業しているのだろうか、あるいは家で、窓から天を見上げているのだろうか。

 雨のために走りにくく、バスの運転手さんは苛立っているようです。ひんぱんに急発進と急停車を繰り返し、そのつど乗客は転びそうになり隣の人に支えられたりあるいは隣の人にぶつかったりしています。盛んにギアを間違っては入れ直す、がっ、がっ、という音がしています。僕がこの市営バスのメカニックならギアオイルを点検して金属粉がまじっていないことを一刻も早く確かめるところだ。

 そのバスの中で、考えました。

 「近代化」というものについて、であります。

 国家が近代化を果たすとき、それは都市と地方の生活の平準化とか国民全体の生活水準の向上とか色々指標はあるのだろうけど、難しいことを考える頭脳はないのでごくおおざっぱに言うなら、私が愛してやまない母国、日本は、戦争に「負けた国」なのに、そして国内にはほとんど資源がないのに、人口だって1億2千万しかいないのに、この戦勝国であり地下資源が豊富であり人口だって13億もいる巨竜の国に先駆けて、「近代化」を立派に果たしたのだなということであります。

 このように書くとすぐに反応する方がいらっしゃいます、それはアメリカの庇護による、日本の近代化のために犠牲にされたものの多さを見よ、国外の批判をどうする、環境の疲弊をどうする、という反対意見であります。

 でも、村上龍が名著「寂しい国の殺人」で書いているように、矛盾無しに近代化を達成した国なんて世界中どこを探してもないに決まっているじゃないか。

 近代化とは、単純に乳幼児死亡率が世界最少となることであり、近代化以前は助けられなかった病人や怪我人を、きっちり救えるようになったということであります。日本の国からはるか遠くで浸水した小舟の救難要請をいち早くキャッチし、自衛隊と海上保安組織がごく短時間で駆けつけ、国費でしっかりと日本人を母国へ連れて帰る、それができる、ということであります。

 世界中に、こんなことができる国が、いくつあるのか。

 これを誇りにしないで、何を誇るのか。

 日本の国が、本当に好きです。どこの国がどんなに批判しようと、私はこの国に生まれたことを死ぬまで誇りに思うだろう。その上ではじめて、他国の「ふつうの民」と、連帯したい、愛し合いたいと思うだろう。どこの世界に、俺は生まれ育った日本は好きじゃない、アメリカが好きだ、という人間がいるものか。自国を愛せない人間に他国を愛せるわけが無いじゃないか。

 私には、3人の子どもがいる。みんな成人したから、そろそろ次の世代をこしらえるだろう。おぉ、私にとっては「孫」ということになるのか。その世代の人々は、私のように「日本」を誇るだろうか。幸福だと、思うだろうか。幸福とは言うまでもなく「落差」である。昨日と今日との「落差」なのだ。あなたと私との「落差」である。とすれば、その世代の人々が「幸福だ」と感じるためには、言葉でなく皮膚感覚で、近代化以前と今との落差を、知っていないといけない。

 日本は、近代化をかなりの高水準で果たした、と私は考えております。そして環境の疲弊やいくつかの国との深刻な対立という問題を抱えた。とすればそれにどう対処して次世代の暮らしがあるのか、それこそが、孫の世代の「誇り」についての、私の疑問の、答えであります。

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