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2013年6月 5日 (水)

中国では、トップにならないと……?

 全員が「はじめて日本文字を見ました」という1年生も、いつしか8ヶ月が経ちました。残念ながら今なお、「食物」をショクモツだと覚えると、「食べ物」をショクベモツと読んだりするような生徒もいますが、多くの生徒は商店で出会うと私の買い物の希望を店の人に通訳できるほどには上達しました。

 黒竜江東方学院、新潟総合学院、共催のスピーチコンテストは終わりましたが、1年生も毎時間、1分間スピーチをしています。原稿も発表内容も立派なもんです。話題は、「先週の土曜日に、○○先生と植物園に行きました、先生は餃子を御馳走してくれました」というようなごく穏当な物が多いです。

 65日水曜日、2人の人が発表しましたがそのうち1人のは、やや内容がシリアスでした。

 「先週私の友達のおね(え)さんは交通事故で死んだ。」(原稿のまま)と始まったので、教室中がシーンと静まりかえりました。

 「ことし彼女は23歳です。たいへん若いです。彼女の離れたことについて、私はとても残念です。私はせいかつの真諦(しんたい、と彼女は発音した)、真剣に考えていました。お金がありませんかもしれません、それにしても、私たちにはよい体があります。人々は利益とめいせい(名声?)を得たい。けれども、財産や地位は取るに足りないものだ。元気がなければ、何もじゅうようではない。」

 そこで涙ぐんでちょっと止まったあと、彼女は自分を奮い立たせるように、明るい声でスピーチを続けました。

 「以前私は自信が足りない。いつも顔立ちはわるい勉強はゆうしゅうではない、などなど、と思いました。いまから私は大きな変化があって、自信を満たします。自分と両親のための努力して勉強します。命を大切にしてください。せいかつを惜しんでください。」(あくまで提出された原稿のまま)

 そこで唐突にスピーチは終わりました。

 交通事故で23歳の女性が死ぬのかぁ、と思いましたが、それともう1つ、意外なことを知りました。

 彼女は、自分の顔立ちは悪い、成績は優秀ではない、とスピーチした。

 ぜんぜん実情と違います。彼女は相当な美人で、とくにメガネを外すとちょっとまぶしそうに相手を見るその表情がたいへんにかわいい。いわゆる中国風の楊(やなぎ)眉、細面じゃないけど、私はきれいな女性だと思っています。成績も22人中上から5番目、じゅうぶんではないかと思います。

 不審に思い、平素通訳を務めてくれている3年生に聞いてみます。

 「あのスピーチ、どう思う?」

 「私は、気持ちわかりますよ」

 「どういうこと?」

 「中国ではですね、その集団でトップの1人だけが、『美人』なんです。それ以外の人はみんな、顔立ちの悪い人です。成績だってそうです。」

 「えっ。」

 「知らなかったんですか?」

 「知らなかったというか信じられない。」

 「日本じゃそうじゃないんですね?」

 私は、当然だ、そこにいるみんなが美人かもしれない、なんらかの最高の価値を持っている、と返答しました。

 あとになって、私が言ったことはいかなる意味でも真実だったかどうか、珍しく考え込みました。

 彼女は留学予定者、まもなく日本で暮らすことになります。

 日本では……。

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