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2013年4月 4日 (木)

ワタシはN1受かりません

 日本語をどう教えるか、というものすごく基本的な問題について、悩むことがあります。

 とりわけN1のように、日本語のルールというより、微妙なニュアンスについて勉強している学生から、「先生、この問題の正解はどうしてこれなんですか? どうしてこっちじゃいけないんですか?」というような質問を受けたときです。

 実際にあった問題ですけど、

 「はじめから宇宙飛行士になるつもりだったのかって言われたら、そうじゃないんです。」

 「はじめから宇宙飛行士になるつもりだったのかっていうと、そうじゃないんです。」

 もちろん正解は下の方です。上は『問いかけられたら』ですから、『そうじゃないと答えるしかないんです』という意味の日本文が続くのが正当だと思います。しかし上のほうにしても、意思は立派に伝わります。そして厳密に言うと下の方だって問いかけです。外部からの問いかけではなく自分の内部で完結する問いかけであるから「そうじゃないんです」が許容されるだけです。

 そして、そのような説明でこの学習者が一発で理解してくれるか、大いに疑問です。

 「公園を散歩する。」

 「公園で散歩する。」

 どっちも可能です。

 「プールを泳ぐ。」

 「プールで泳ぐ。」

 片方は間違いです。それなら、

 「海を泳ぐ。」

 「海で泳ぐ。」

 これも、片方は間違いでしょうか?

 こういう問題について「片方が間違いである理由を説明してください」と言われると、決まって私は専門の先生を呼ぶことにしています。なんだかよくわからないことを説明して生徒のせっかく整理されかけた頭を混乱させるより、正直に「わたしには説明できません」というほうがよいと思います。中には、「先生が教えて下さい。先生日本人じゃないですか」という学生もいます。

 私は、「そういうもんなんだから、そのまま覚えてください」ということにしています。基本的にこういうニュアンスを、日本語を勉強し始めて1年か2年、どんなに長くても2年半、という学生に課す事についての疑問が、私の中にあります。

 山田詠美やよしもとばななじゃなく、もちろん最近芥川賞を取ったなんとかいうおばあさんみたいに意図的に日本語を壊す人じゃなく、正当なルールで書かれた穏当な文章を沢山読んだほうがいいと思います。そして、ものすごく残念なことですけど、中国国内ではあまたの『問題集』が売られてますけど、そのうちのいくらかは、明らかに添付の正解が、間違っています。そういう問題集を選んでしまった不幸な学習者も、「ちょっとわからないんですけど……」と、研究室にやってきます。その問題集を検討していると、どんどんと私も不本意に難解さの海に溺れてゆくことになります。あれ? 海で溺れて? 海を溺れて? 

 ……いずれにしても私はN1、受かりません.N2なら、まぁ受かるでしょうけど。

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