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2012年12月10日 (月)

私は心からこの日本という国が好きなので

 来たりくる選挙について。

 投票日に、私は日本におりません。迂闊にも在外投票の手続きをしてこなかったので、何度瀋陽の領事館から親切なメールをいただいても、私には投票する権利がありません。

 そんな中、ネット上のニュースで、「安倍自民党、単独過半数か」という観測もあることを知りました。

 唖然としました。

 私は日銀という「かならず独立性を保たないといけない」機関に政府が介入、ないし恫喝をするのは国家の自殺行為だと考えるものです。総量を増やして通貨の国際的な信用を意図的に落とすという策はアメリカだけでたくさんです。どんどん紙幣を刷る、しかし増えたお金はただ枚数が増えただけで企業は設備投資なんかしないから(設備投資して生産力を上げてもその生産品は誰も買わないのだから)だぶついたお金は国債を買うしかない、その借金が生み出す「無理」は結局無理し続けることでしか解消(解消じゃないけど)しなかった。

 おお、この意味でもアメリカと同じだ。怖ぇ。

 一部の経済学者は「アメリカのように国債の売却先が半分海外、というような策は日本はとってこなかった、9割は国内の金融機関が買ったのだから破綻しない」というしその理屈はわかるけど、そしてそうしなかったら予算が組めなかった、社会保障費が捻出できなかったというのもわかるけど、無理は無理だ。じゃぁその「国内の金融機関」は? 40兆円の国債をためこんだ東京三菱UFJ銀行、その前を通る人は、崩壊の迫る「みしみし」という音を聞かないのだろうか。その40兆円がある日突然紙くずになっても、平気なのだろうか。平気なのだとしたら、別の意味でおかしい、異常だ。

 この状況で円が対ユーロで107円、対ドルで82円というのもすごいなと思う。ほら、円が信用されている証拠ですよ、という言い分も成り立つと思うけど、円の信用なのかドルの失墜なのかわたしにはわからない。そして少なくともデフレというならその理由ははっきりしている。日本人が国内ではものを作らなくなったからだ、あるいは国内で作られたものを買わなくなったからだ。今、私が身につけているものを全部点検すると、実のところメイドインジャパンは1つもない。パソコンも耐久消費財も同じだろう。ポジティブにこのことを表現すると、アジア域内での分業が進んだ。マイナーに表現すると産業が空洞化した。ユニクロもニトリも単純に私は偉いなと思う、何を言ってるそのために若者が国内では就職できないという人もいる。じゃぁあなたの家の家具は全部日本製ですかと意地の悪いことを聞いてみたい気がする。

 日々、たくさんのお金を使わないでも生活できるようになった。単純に、ごくごく単純に、いいことじゃないかと私は思う、違うのだろうか。町村は「強い日本」といった。ふたたび日本中にコンクリートを流し込むという。安倍は「美しい日本」と言った。安倍が支持されているのは中国との経済協力よりアメリカへのすりよりを表明したからで、メディアは全面的に協力した(そして大事な事を隠蔽した)。石原は交戦できる軍備と憲法を持たないから「なめられる」といった。中国の軍人は武装警察を含めれば250万人いる。単純にこの国と同じ人数の兵員を国軍として持つ? そして、「命をかける」人のために年間1000万円を人件費として計上したとすると? 「高い」という人がいるかもしれない。そんなことはない、現状でもそのくらいの人件費は使っているはずだ。退職準備金、福利厚生、その人たちの退役後の恩給とかだって考えないといけない。すると、日本円にして25兆円。石原はそれだけの金を使って中国に対抗するというのか? 東北、岩手盛岡周辺に救急対応の病院が4つかしかないことで人々が不安におびえるとき、25兆円を軍備に、それも人件費だけに割けるのか? 現在日本の自衛官は予備自衛官を含めても25万人。どういう頭の使い方をしたらそれを十倍にするという策が思いつくのだ。しかも核武装のシュミレーション?

 馬鹿も休み休み言え。

 安倍自民党が単独過半数というのは、やっぱり良くわからない。私だけがおかしいのかという気もする(そう考えるとおそろしい)。アメリカの覇権失墜、ドルの破綻がカウントダウンを始めているという時、そして沈む船からいっせいに各国が飛び降りようとしている時(先日の、「パレスチナ承認」を見よ!)日銀に「量的緩和」を迫る、それに応じる総裁を吸えるという発想を、おそろしいというのは私だけなのだろうか? 沈む船と一緒に沈まなければいけないようなどんな罪を、私たち日本国民は犯したのだろうか? でも私だけが蒙昧なのだとしたら、もっとはるかに危険な道を、日本は「必要があって」進んでいることになる。それに、30%を越える人が(それ以上ないと単独過半数はとれない)支持を寄せる。そういう必要が、今あるのか? なんで私だけがそれを知らないで、投票もできないでハルピンに居るのかということを考える。お化け屋敷に入ってトロッコに乗って(東京ディズニーランドね)、ふと振り向いたらトロッコに乗っているのは自分だけだったと知ったときの子どもってこういう気分かもしれない。

 アメリカが覇権を喪失する(あるいは、もう『した』?)のは間違いない。それは有権者のほとんどが知っていることだろう。中国で衛星放送を見ていると、BBCのコメンテーターは1日に何回も「フィスカル・クリフ」という言葉を使う。もちろんアメリカのことだが、アメリカは自分だけでは崖っぷちに立たないよと言っている。名作映画「レベッカ」じゃないが、これを巻き添えという。無理心中という。安倍にどんな利益がある!? すすんで崖に向かう、国民を向かわせようとする政治家を多くの人が支持する、そこにどんな利益がある!? 日本てどういう国なの? と日本人である私が、聞きたい。

 政治家は議席を失うことが怖くて今なお「国民みんなを幸せにします」みたいなことしか言えない。一番削りたいのは社会保障費でできることなら国債の償還なんか永遠に先延ばしし老人医療費だってもう一度論議をむしかえしたいのだけど票の事を考えるととてもそんなこと言えない。「国民」という言葉でくくられる均一性なんかとうの昔になくなっているのに、あなたがたみんなのために、と同じことを言う。無職の男が恋人に対しボクはあなたを幸せにしますと言ったらみんなちゃんと笑ってあげるのに、選挙の立候補者のことは誰も笑わない。とにかく対立する政治パーティーを指差して、あの人たちはダメなんですというけど、それは政治じゃない、ということをちゃんとメディアは指摘して欲しい。

 アメリカとの関係をどうするのか、デフレや円高は本当に政治の力で動かせるものなのか、そもそもデフレにしろ円高にしろ国民のどの層にどう不利なのか有利なのか、語ってほしい。歴史的にみて自国通貨を安値に誘導しようとする国家がその目標を達成させて多くの人を幸福にしたことはないように思える。日本でそれが有効なわけを語ってほしい。集団的自衛権ってえらく危険な発想だと私は思うけど、それは日本が必要としているのかアメリカなのか、語ってほしい。日本だとしたら、今この状況下でどんな国が日本に軍事的侵害を及ぼすという想定のもとなのか、教えてほしい。

 私は、日本という国は大好きだし、自分が日本人でよかったとも、思っている。とにかく他国に一発も銃弾を放つことなく、世界がうらやむ空前の繁栄を実現させた。国内には資源がないのに、営々と働き、石油をはじめとする資源を、「市場価格で」買う経済力を手に入れた。地球上の人口の2%である日本が16%の石油を消費するという図は単純にいいことなのか悪いことなのかそこは論議もあるかもしれないけど、少なくとも資源を買って対価を金でなく武器で払う、みたいな、経済学者は認めても神や仏は許さない(つまり後世の私たちの子どもは許さない)暴虐は、一度もしなかった。えらいなと思う。2度にわたる石油ショックもプラザ合意もニクソンショックもリーマンショックも、そしてあの、複数回に及ぶ不幸な震災も、みんな知恵を絞って乗り切った(ひとつは乗り切っている最中だけど)。えらいなと思う。かつて京都出身のフォークシンガーは(古い言葉だね、とにかく杉田二郎です)自分たちのことを「戦争を知らない子ども達」といった。その年代の人間が、「戦争を知らないオジン」になろうとしている。なんていいことだろうと思う。そのままで死ねるかもしれない。なんて日本はいい国だろうと思う。

 ちゃんと政治しろ!

 ……ハルピンからインチョン経由で日本に帰って投票するかな。

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