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2012年9月16日 (日)

昔々あるところに、のび太国という国が

 昔々あるところに、のび太国という国がありました。国民みんながめがねをかけ、穏やかな性格で熱心に働き、他人と接するときも決して乱暴な口をきかず、多くの国の人々に愛されていました。ただ、しょうしょう頼りないやつだな、という風には、思われていました。時折爆発して恐ろしいことをしでかすごく少数の人を除いては国民性は均一で、とても勤勉でした。多くの人がこの国に生まれたことを自分にとって好ましい運命だったと受け入れるような、そんな国でした。

 すばらしいことです。

 そんなのび太国も、外側の国とけんかしたことがありました。「外側の国」の中心が、ジャイアン国でした。すぐに世界一の軍事力をちらつかせて弱い国(ということはジャイアン国以外のすべての国)を脅し、理由もなくそれらの国に自分の国の軍隊を置き、時にはその駐留費用まで出させ、世界を何度でも瓦礫にしてしまえる最終兵器を大量に持ち、またそれを管理する科学力、情報操作力を誇り、間違いなく世界の「中心」でした。それを忌々しいという思う国はたくさんありましたが、ジャイアン国の中心にいるのはそれはそれは頭のいい人たちで平時においては「情報」が最大の武器だということを知っていましたから、自分達を快く思わない国が何を思っているか何を準備しているか、瞬時に察知するのでした。それほど強い国はほかにありません。

 のび太国はジャイアン国に負けてから自分達では外交をしなくなりました。外交というのは利害をちらつかせて軍事的、経済的、資源配分的に対立関係にある国と「交渉」をすることです。そのためには、あなたがそう言うなら私はこれをあなたに渡さないよ、あなたが★★を○○してくれるならこの原油床の開発権利はあなたにも半分あげるよ、というような、「カード」を持っていないといけません。また、そのカードの利用について、国民全部の合意がないといけません。ものすごく面倒です。のび太国は軍事力を放棄し、何万人ものジャイアン国兵士に駐留してもらい、そのカネを出して、自分の周辺の国々と対等になろうとしました。ジャイアン国の言語を子どもに習わせ、ハリウッド映画をほめ讃えコカコーラを飲みマクドナルドやケンタッキーを食べ、新潟から「たまには自分達で考えようぜ」というおっさんが出てくるとみんなで悪者扱いしました。驚くべきことにそんな『平和』が、安定が、60年続いたのです。

 のび太国に危機が訪れていました。ジャイアン国が、軽率に世界中で軍隊を動かしたり自分達の通貨、つまり地球で第一番目の国際通貨を印刷しすぎたり、価値観の違う国にあまりにも強引に自分達の宗教や価値概念を押し付けたりしたために、世界は徐々にジャイアンと距離を置き始めたのです。そうなっても、のび太国にはジャイアン国に依存する以外の外交(外交ではないのですが)オプションがありません。

 世界の嫌われ者になり自分の体力も衰えてゆくことを自覚し、その傾向をなんとか食い止めないといけないと思うジャイアンが、のび太を利用しないはずがありません。

 南のほうに、しずちゃん島という小さな島があります。それをめぐってあるとき突然、のび太国ととなりのドラえもん国がぶつかるという悲劇がありました。もともとのび太国とドラえもん国は仲が悪くはありませんでした。道徳や宗教で深い交流があり、顔もとてもよく似ていて、言葉(特に字)がよく共通していました。のび太国の自慢は均一で穏やかな国民性と繊細な科学力、ドラえもん国の自慢は圧倒的な人的資源と地下資源でしたから、両者が仲良く協力してたとえばドラえもん国のすぐ北にあるスネ夫国みたいなものすごい原油の埋蔵量を誇りながらインフラ整備が圧倒的に遅れているので開発できないところとそれこそ『交渉』して資本と人を送り込めば強力なネットワーク、経済協力圏ができるのですが、それはしずちゃん島の問題のために何年も先にのびることになりました。

 この対立を、誰より喜んだのは……。

 書きながら腹が立ってきたので、ここでやめます。

 916日、ハルピンの空はコバルトブルーです。早朝の気温、9度。

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